ギャルゲー




「お前、潔のことどう思ってるんだよ」

 凛に死ぬほど聞かれている質問だ。たまに対象人物が変わるが、大体潔くんだ。死ぬほど聞かれているのでこちらも辟易している。なので、その時の気分によって返答を変えてみた。

「普通に好きだよ」
「は?あんな雑魚に現抜かしてんじゃねぇよタコ」
 その後拗ねられて余計面倒になった。

「かわいいよね」
「眼腐ってんのか」
 その後気持ち凛がくっついてくるなどかわいいムーブが起こった。

「興味ない」
「フン……」
 なんもないんかい。

・・・

「……告白しようかな」

 その日私は大分イライラしていた。主にバイオリズム的なアレで。その中で辟易とした質問。しかも凛が私に言わせたい答えなんてとっくに分かっている。言ってほしくない答えも分かってる。あえて後者を口にする私は本当に性格が悪い。

「は?」
 基本的に凛は無愛想で、機嫌もいい時の方が少ない。
「ふざけるな」
 ならふざけたこと聞いてくるなと思ったが、今なにか言うと口喧嘩になることは火を見るより明らかだった。無駄なエネルギーを消費したくないので無言で立ち去る。も、掴まれた右腕に阻まれる。

「なんですか」
「敬語やめろ」
「はいはい」
 離してくれない二の腕がみしみし言ってる。

「俺の方がサッカー上手い」今はね。
「俺の方が背高い」うん。
「俺の顔好きって言った」…言ったか?

「……検討します」
「?分かればいんだよ」
 検討って言葉が難しかったみたい。その場は無事解放されたが、事あるごとに「母さんも気に入ってる」だの「年俸高い」だの言ってきて面倒だった。

 ・・・

「凛の方が好きだよ」

 びっくりした猫みたいな表情で停止した凛。
 深い意味があろうとなかろうと、これは私の中で真実だ。たった数ヶ月マネジメントした男子より、物心ついた頃からの顔見知りの方が断然愛着もある。
 なにか仕出かしたとしても「かわいい奴だな」で済ます愛情もある。

「そうかよ」
 目も合わさず、そそくさと退場する凛を目で追いながら、たった一言の選択でここまで変わる態度に改めて感嘆する。

(ギャルゲーみたいだな……)
 正確にはサイドが違うが。
 真摯に向き合わず、申し訳なさがないわけではないが、面と向かって言ってこない間はこちらも楽しませてもらおうと思う。






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