「ケロケロ。それで最近彼とはどうなのかしら?ひよりちゃん」

「ど、どういうことかな?!梅雨ちゃん!」

「なになに恋バナ?アタシも交ぜてー!」

「三奈ちゃんまで!」

 休日、寮の共同エリアである談話スペースで梅雨ちゃんとテレビを見ていた。芸能人やゲストのヒーロー達が出ているバラエティー番組。MCの方が有名女優さんに初恋の話を振っていた。彼女はその恋を実らせ、素敵な家庭を築いているらしく、思わず良いなぁと呟いてしまう。そんな時だ、梅雨ちゃんの爆弾発言と共にAクラスの女子達が集まり出したのは。

「わ、私の話はいいよっ。」

「えぇー。聞かせてよー。轟でしょ?轟!」

「わーーーー!三奈ちゃん声が大っきいから!男子来ちゃうっ」

 ソファへ豪快に腰を落とした三奈ちゃんは私の肩に手を回し、大きな声で轟くんの名前を言った。慌てて彼女の口を両手で封じる。

「デクくん達なら今日出かける言うとったから男子殆ど寮におらへんと思う!」

 グッと可愛らしい親指の肉球をこちらに向けてくるお茶子ちゃん。全然大丈夫じゃない。殆どという事は何人かは男子寮にいるって事だ。もしかしたら轟くんもいるかもしれない。緑谷くんと仲がいいから一緒に出掛けているなんて都合の良い方へと考えるのは浅はかだ。

「つーか、あれだけ分かりやすかったら皆にバレてるっつーの。爆豪とかこの前凄いアンタのこと睨んでたじゃん。ウチ、同じチームだったから凄いやり辛かった」

「爆豪くん怖かった……。ごめんね、響香ちゃん。勿論あれは私がいけないから爆豪くん怒るのも分かるけど。もう絶対訓練中、轟くんにうつつを抜かさないです」

「ひよりちゃんめっちゃ轟くん見とったもんなぁ」

 何だこれ、恥ずかし過ぎる。A組の殆どに私が轟くんを好きだって知られているのか。そんなに分かりやすいのだろうか。当の本人は全くこれっぽっちも気付いてないと思うのに。

「告白しないのー?」

「透ちゃんまで!……告白なんて無理無理っ」

「まぁまぁ皆さん。あまり液野さんを困らせてはいけませんわ」

 私の味方は百ちゃんしかいないのか。ありがとうと感謝の気持ちを込めて百ちゃんを拝んでいたら響香ちゃんがそういえばと口を開いた。

「ヤオモモって轟と仲良くない?」

「百ちゃんっ!?」

「ええっ?!期末テストの演習試験の時、一度御一緒させて頂いたくらいですわ」

「羨まし過ぎてジェラシー」

 ぐぬぬと下唇を噛んで先程まであった百ちゃんへの感謝の気持ちを何処かへ置き去る。百ちゃん美人さんだし頭良いし、個性凄いし……。なんだか自分で言ってて悲しくなってきた。

「女子全員集まって何やってんだ?」

「っ?!と、ととろっ……くん!」

「……だから俺はトトロじゃねぇぞ、液野」

 何というタイミングで来ちゃうの轟くん。今は駄目だ。そんな首を可愛いく傾げても許されないぞ。皆も私と轟くんを交互に見てニヤニヤしないでほしい。流石に轟くんでも私の好意に気付いてしまうのではないか。……まぁ少しくらいは意識してほしいけども。

「ねー轟!ひよりのこと好きー?」

「三奈ちゃん?!何て事を?!」

 どうしてくれるんだ。轟くんだって冷やかされたら嫌だろう。視線を三奈ちゃんから恐る恐る轟くんに変更すると、そこには困り顔ではなく訳が分からないと言った様子で再び首を傾げている彼。

「……?当たり前だろ、ダチなんだから」

「……ケロケロ。重症ね、ひよりちゃん。液体化しちゃったわ」

「おいどうした液野。何でいきなり液体になった?ソファが濡れるからやめた方がいいぞ」

 お茶子ちゃんが轟くんのその無遠慮な発言に怒っているのが聞こえたが、今はソファを全体的に濡らす作業に勤しむことにした。







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