独白


 レジスタンスの重要人物として、尋問や拷問を受けるのだと思っていた。機密情報について吐かない自信はあったが、魔法や薬を使われたら分からない。そんな空気を感じたらすぐに死のう。死なせてくれる程甘くはないだろうがな。だが一向に拷問や尋問をされる気配がないのが、逆に不気味だ。監獄の中はそりゃあ退屈で、余計な考えばかりが巡る。ただ、最悪の事態さえなけりゃ死のうなんて思うわけがない。フォルカーやブリッタのところへ帰るのは諦めてないからな。
 レジスタンスの連中は無事だろうか。偽の情報にまんまと騙された俺に付き合って、あんなことで捕まってなければいいが、捕まったのが俺だけということもないだろうな。本当にすまないことをした。まあ、残った連中もフォルカーがいれば大丈夫だろう。
ああ、ブリッタが心配だな。あいつ、ずっと俺の後ろをついてきて、流れでレジスタンスにそのまま入っちまって……こんなところまで来なけりゃいいけどなぁ。ブリッタには、人間狩りのなくなった世界で伸び伸び生きてて欲しいんだよ。
 フォルカー……レジスタンスになんか興味なかったろうに、俺がやるって言ったら何も訊かずに、面白そうだからって当たり前みたいなツラしやがってよ……お前がいなかったら、とっくに心が折れてたかもなぁ。なのに丸投げして悪いな。どっかで会えたら、大人しく殴られてやるか。
「出ろ」
 おっと、どうやらお迎えが来ちまったようだ。人間狩りなんて、全く何考えてんだか、帝国の連中はよ……。
 すまねぇな、フォルカー。俺はどうやらここまでみたいだ。先に行ってるぜ、相棒。



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Written by @uppa_yuki
アトリエ写葉