▷ キスで目覚めるらしい?(雪兎)




「失礼します………?」

 いつもいるはずの保健室の先生がいない。
 神様ありがとう、と思った。
 わたしは雪兎がいるはずのベッドに近よってカーテンをひらいた。

「……雪、兎」

 すやすやと心地良さそうに眠る彼。

———すぐきて正解だったかも……っ。

 前の授業中に桃矢君が熱っぽい雪兎を保健室に連れていってからやっと休み時間、すでに帰ってきていた桃矢君をおいて全速力でここまで走ってきた。

 美しい寝顔をひとりじめできるなんてホント贅沢。
 はっとカーテンをあけっぱなしだったことに気づいて、急いでもとにもどした。

「ふたりっきりだよー……雪兎っ!」

 とりあえず近くによってベッドにひじをついて顔を眺める。
 まつげが長くてすごくきれい。
 心地良さそうに眠ってるってことは、もう熱はだいじょうぶなはず。

「……にしても起きないな……」

 そーっと髪をなでてみても気づかない。ほっぺたをちょんちょんしても起きる様子なし。
 縁起の悪い言い方すると死んでるみたい。眠ってる姿はまるで白雪姫。

———いや、違うな、何だっけ……?

 違った、眠れる森の美女だった。

———というか雪兎なら眠れる森の美男子?

 雪兎が眠れる森の美男子なら王子様が眠ってるってことだ。それならわたしはそれを助けにきた王子様、じゃなくてお姫様。
 わたしはそんなお姫様なんてがらじゃないけど。

「お姫様は王子様のキスで眠りから覚めるんだよー……雪兎?」

———これじゃあ逆になってるよね……。

 わたしは意を決して顔を近づけた。そして触れたのかもわかんないくらいのキスをした。
 ていうかここ一応保健室だしね。ぶちゅーっとはできないでしょ。

「雪兎ー……」
「………んっ……まなみ……?」

 やったよ王子様が起きちゃったよ。何でもやってみるもんなんだね、神様。
 雪兎はベッドの上で上半身だけをむくっと起きあがらせた。

「だいじょうぶなの?熱」
「んー、もうだいじょうぶみたい!」
「そっか、よかった!」

 いつもどうりの笑顔をうかべる雪兎をみて安心した。

「まなみはなんでにやにやしてるの?」
「え?わたしにやにやしてた?」
「うん、なんで?」
「なんでって……」

 いえるわけないじゃない、眠ってる間にキスしましたなんて。

「……雪兎って、王子様みたいだなーって思ったの!」

 とりあえずこれでいいだろう、ていうか意味わかんないよね、急に王子様って。

「そっか、……それならまなみはお姫様?」
「えっ?あ、そ、そうだねっ!」

 雪兎って天然なのか、それとも確信犯なのかわかんない。たまにするどいところついてくるんだから。

「ねぇまなみ」
「なーに?」
「お姫様は王子様のキスで目を覚ますんだよ」
「……ん?」
「さっきのじゃ逆だからね」
「……お、おおおおお起きてたの?!」
「うん、ばっちり」


キスで目覚めるらしい?
(そういえば、とーやもずっといたしね)
(ちょ、ちょっと!いつからそこにいたのよ!?)
(あ?……ふたりっきりだよー、っつってたあたり?)
(そっ、それってほとんどはじめから……)




人間じゃないのに熱ってたぶん魔力のバランスでもくずれたんだと思う(適当)ホルモンバランスくずれたみたいな感じなのかな? title by 確かに恋だった



 
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