折り鶴


イザナクロカワと同じ施設で育ったみょうじなまえ、引き取り手が見つかって施設を出る前日に何を思ったのかイザナがくれた折り紙の鶴を何年経ってもずっと大事に持ってるし、2006年2月末に見舞いで訪れた鶴蝶くんの病室でだけ言葉も出ないぐらいに泣いて、他の誰の前ででも一度も泣かなかった

二人の間にあった感情にも二人の関係にも名前なんてつけられなかったし形になんて出来なかったのに、たったひとつ形のあるものは捨てられないし、形のないものも心にこびり付いて消えてくれないから……(ここがサビです)

誰に恨まれても憎まれても、たくさんの人を不幸にしても、たくさんの人から幸せを奪っていたとしても、結局みょうじなまえを幸福にしたのもその希望だったのも、全部イザナだったけど、それを伝える手段も方法ももうどこにもないし、伝えられないからこそみょうじなまえは一生その気持ちを捨てられない