拍手お礼・01(逆検 / 馬乃介)
(1/5)
「うまのすけさん、話ってなんですか?」
「いや、そう大層な話じゃねえんだけどよ……」
「急がしいので早くしてください」
「チッ……。まあいい、女ってのはどういうのが好きなんだ?」
「すみません、話が抽象的過ぎてわかりません」
「だから、女ってのはどういうのが好きなんだっつーの! ほら、色々あるだろ? 可愛いとかピンクとか綺麗とか……」
「どうしたんですか急に……怖っ」
「いいから教えろよ!!」
「んもー、そんなに怒らないでくださいよ。そうですね、個人的な意見としては、やっぱり女性は可愛いものとか好きですよ」
「ほお……」
「どうしたんですか、そんな事急に聞いたりして」
「別に」
「まさか、気になる人でも出来ましたか?」
「うっせえ」
「へえーなるほど。でもうまのすけさんならその甘いマスクでいくらでも女性を虜に出来るのでは?」
「それが出来たらお前なんかに聞かねえよ」
「ですよねーうまのすけさんですもんねえ」
「やかましい!」
「どうせ百戦錬磨なんだから、そんな事気にすることないのに」
「俺はそんなに軽い男じゃねえし、女の事考えるのも初めてだ!」
「え……まさか、うまのすけさん……」
「だから、初恋なんだよこれでも!!」
(うそだ……!!)
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「で、早速お店に見に来たわけですが…」
「悪いな、付き合わせちまって」
「いいんですよ。だって、またとない……うまのすけさんの、ぐっ、ぷくく……その、ふふっ、初恋……ブフォオッ、ですもん!」
「お前、喋るか笑うかどっちかにしろ。後者なら殴る」
「言う前に殴ったじゃないですか! 痛いなあもう!」
「殴ったんじゃねえ、ツッコミだ」
「そんな激しいツッコミはいりません!」
「お前が人の事を笑うからだろ!」
「えーだって、可愛いじゃないですか」
「可愛いだあ?」
「なんか微笑ましいっていうか」
「……うっせえ」
「第一、うまのすけさんにこんなファンシーなお店は似合いません」
「俺だって出来る事ならスーツでこんな場違いな場所に来たくはなかったがな。誰かさんに引っ張られたからな」
「それにうまのすけさんってどっちかというとオラオラ系っていうか……」
「話を聞け」
「でもちょっとヘタレ要素も入ってるような……」
「おいこら」
「女性には弱そうですよね!」
「てめえ……」
「あー、うまのすけさん、実は『可愛い』タイプですね!」
「勝手なイメージ押しつけてんじゃねえ」
(また殴られた……)
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「さて、プレゼントも買えましたね。でもいいんですか? トノサマンぬいぐるみで」
「いいんだよ」
「でも、この『可愛い』のセンスは私好みですが……」
「だから、いいって言ってんだろ」
「??」
「行くぞ」
「あ、待ってくださいよ」
「オラよ」
「何ですかこの手は」
「は、はぐれねえようにしようと思っただけだ! 深い意味は無えからな!」
「はあ……。でも、そういうのは好きな人とした方が良いですよ?」
(こいつ本当に……)
「あ、それともその好きな人との予行練習ですか!?」
(鈍すぎにも程があるんじゃねえの……)
「んー、それなら良いんですが……」
「けどなんだよ」
「握った瞬間、握りつぶされそうな気が……」
「そんな事考えてるのはお前だけだ」
「いやしかしですね……」
「つべこべ言ってねえで」
「?」
「いいから俺と手をつなげよ」
(何故かドキッとしてしまった)
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「……」
「……」
「…………」
「…………」
「………………」
「…………おい」
「……なんですか」
「なんか喋れよ」
「いやだって、うまのすけさんと手を繋ぐという大それた行為をしているせいか、何を話せばいいのやら」
「お前が緊張してるのはよくわかった」
「うまのすけさんはしてないんですか?」
「してねえし」
「いやでも、手に汗が」
「かいてねえし」
「でもちょっとだけ手が震えてますよ、さっきから」
「気のせいだろ」
「あとうまのすけさんの手を握る力、ちょっと痛いです」
「悪い」
「それじゃ弱すぎです。離れちゃいますよ?」
「そうか」
「ふふふ……」
「意外に慣れてなくて、悪かったな?」
(いえ、やっぱり可愛いなーって)
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「じゃあ、いよいよ告白ですね」
「ああ」
「とりあえず良さそうな公園に来てみました」
「ああ」
「じゃあボートにでも乗りましょうか」
「ああ」
「ちょっと、さっきから『ああ』しか言ってませんよ! 駄目ですよ、もっと女性をリードしないと!」
「あ、ああ……」
(駄目だこりゃ)
「ボート漕ぐぞ」
「お願いします」
「……」
「あ、うまのすけさん、この橋の辺りでプレゼントを渡すのはどうでしょうか?」
「お、おう……、これ、お前にやるよ」
「わーい、ありがとうございます! ……こんな感じで良いですか?」
「いや受け取れよ」
「え?」
「お前にとっての『可愛い』がこれなんだろ?」
「……え?」
「お前に買ったんだよ」
「えっ……」
「俺はお前を……って言えるか馬鹿」
「台無しです!!」
「うるせー! い、言えるか!!」
「あーあ、お返事したかったのに……」
「え?」
「いえ、何でもないです」
「なんだよ、言えよ」
「じゃあ、うまのすけさん、せーので言いませんか?」
「……わかった」
「っせーの」
「好きだ」
「好きです」
(本当は最初から両想い)
(20120123 修正20160908)
Thanks!!⇒
確かに恋だった
Smotherd mate