※現パロ
「久秀さん、ボンバーマンやろボンバーマン!」
「今日というこの日に? わざわざ我輩と?」
カレンダーの日付を見れば今日は11月19日。
久秀さんは10月と11月の、とある日付には敏感になる。まあ、知ってて誘ったんだけどね。
「私は1Pの白ボンで、久秀さんは2Pの黒ボンだよ」
「ボンよりボインが良いんだがな〜」
あまり乗り気じゃない久秀さんに、画面を見ながらゲームを説明する。
私はトロッコのあるステージが好きだが、まずはスタンダードなステージを選ぶ事にする。陽気な音楽と共にいよいよ2人のプレイヤーと2人のNPCでの対戦が始まった。
「こうやって爆弾を置いてブロックを破壊したり、相手を倒したりするの。で、この柱は通れないし、爆弾でも壊せな――……」
「あ」
「あ」
久秀さんは早速柱の間に爆弾を置いたが、ブロックと柱に塞がれて逃げ場をなくしていた。
拡縮する丸い爆弾は少しずつ動きを早めると、やがて爆弾を置いた張本人もろともブロックを容赦なく爆破した。
久秀さんは眉を顰めて目の前の現実が受け入れられないようだった。
「なん……だと……?」
「んん――……無理ぃ……!」
初心者が必ずと言っていい程やるミスを、早速してくれた久秀さんに笑いがこみ上げてくる。こんなにも早くフラグ回収してくれるとは思わなかった。お腹痛い。
ぷるぷる震えて笑いを堪えていると久秀さんが私のほっぺを抓った。
「こんなかよわいオッサンをいじめるなんて名前ちゃんは酷いのう〜!」
「いひゃいれふううぅ! わはりまひた! やりなおひまひょ!」
スタートボタンを押してゲームをやり直すと、久秀さんはようやく私の頬を放してくれた。
「はあ……。でも私満足しちゃったな。久秀さんが自爆してくれたから」
「いいや我輩が許さん! 勝つまで辞めんからな〜! 我輩は、我輩の仇を取る!」
自爆が相当悔しかったのか、久秀さんは奮起しながらコントローラーを握りしめる。
「良いですよ、付き合いましょう!」
そして久秀さんは、数時間後には見事な爆弾魔へと成長を遂げた。自爆していたあの頃が嘘のようだ。やっぱり鬼に金棒のように、久秀さんに爆弾だな。
それからどうやら対戦ゲームにハマってしまったらしく、爆弾おじさんの次は乱闘おじさん、最終的に爆走おじさんへと姿を変えていった。その内オカリナおじさんにしてみたい。
何はともあれ、久秀さんが楽しそうで何よりでした。
Smotherd mate