いってらっしゃい
タイタン(コモタン)を無事に倒した昴は、怯え始めた部下に対し、にこやかに笑ってみせた。
「だから俺もう魔王じゃないって」
その昴の言葉に、遥が反応をする。バッと勢い良く顔を上げた遥に昴は何度か瞬きをしながらも、遥へと手を伸ばす。
「…遥」
「昴…あのさ…」
昴の手を取り、遥は昴を見つめる。その顔は見覚えのある辛そうな泣きそうなモノで、昴は勢いに任せて遥を抱き寄せたくなった。腕の中で大丈夫だと宥めて、沢山話をしたい。
だが、自分は小桃と共に旅をするのだと決めた。今一番大切だと思うものの為に、この手を離す決心をした。
「遥…」
昴がぎゅっと遥の手を握ると、遥も軽く昴の手を握り返す。昴の決意が伝わってきて、遥は微笑むしか出来なかった。
約束した。
ずっと一緒に居ようと。
だが、先にその約束を破ったのは紛れもなく自分なのだ。
だから、自分から昴を責めるなんてこと出来るわけがない。
「昴…いってらっしゃい」
「…!」
「別に、一生会えなくなるわけじゃないだろ…?」
遥の言葉に、昴は頷く。
それならいい、と呟く遥は昴から小桃へと視線を移す。小桃は遥と目が合い驚くが、遥はふんわりと微笑む。
「こんなヤツだけど、一緒に行かせてやってくれないか?」
遥の言葉に、小桃はこくこくと首を縦に振る。その姿を見て遥は安心したのか息を吐くと、安堵の表情を浮かべた。
「二人なら心配ないな」
行ってこい、と昴の手を離した遥は二人の肩を押す。
小桃は動き出す様子のない昴の腕を掴むと、外へと歩を進め始める。
数歩進んだところで、小桃が何か思い出したかの様に勢い良く振り返ると首を傾げた遥に向かって空いている手を振る。
「いってきます!」
大きく響き渡った小桃の声に、昴と遥は静かに微笑んだ。
to be next...
ALICE+