親しくなる為のモノ


怒りを孕んだ瞳のままに昴の側近である紅はキャロルと共に昴の元へと出掛けて行った。
見送ろうかとも考えていた遥だが、タイミングを見失った為、部屋の窓から二人をこっそりと見送ることにした。

部屋から見えた紅の姿が、やはり苛立ちを纏っていることに誰に聞かれることもなく笑みを溢す。
あんな状態でマトモに任務をこなして帰って来れるのだろうか。怒った紅の神経を逆撫でするのは昴の得意技だ。怒りに身を任せて任務失敗等、笑えない。

紅とキャロルの姿が見えなくなったのを確認して、遥はベッドに腰を掛ける。
今回二人が出掛けることはプリノから聞いた。詳細についてはプリノも知らなかったので、推測の粋を出ないが、恐らく今回の二人の目的は昴を連れ戻すことではなく、魔王を連れ戻すこと。
つまり、最悪は魔狼の右腕のみを持って帰って来ればいいのだろう。昴がほいほいと右腕を差し出すとは思えないし、帰って来るとも思えない。勿論、あの少女だってそれを簡単に許すとは思えない。

安易に想像出来る、任務失敗の文字。
行方知れずとか何とか言ってしまえば、軍の人は皆それ以上のことは追及しないだろう。


「まあ…、いっか」


これで本当に昴と会う機会がなくなる様に感じるが、それが昴の幸せならば自分は受け入れるのみである。

あの少女がいる限り、昴は幸せなのだから。
昴にとって、あの少女は特別であの少女は救いなのだ。

昴の幸せを奪うモノは、何だろうと許さない。
昴の幸せが、自分の幸せなのだから。


――コンコンッ


「遥さん、いらっしゃいますか?」
「……プリノ?」


自分の思考に沈み混んでいた遥はプリノの声で意識を浮上させる。遥の声が聞こえたのか、プリノが恐る恐る扉を開いた。
遥はプリノの顔を確認すると、無意識に微笑む。プリノは申し訳なさそうに部屋へと足を踏み入れる。プリノの様子に、遥は軽く首を傾げると、とりあえずベッドの上へと促す。


「プリノ、どうした?」
「お話をしたくて…」
「何だ、それなら大歓迎」


遥の返答に、プリノは一瞬で顔を綻ばせると、最近の自分に起こった出来事について話し始める。遥は優しく微笑みながらプリノの話に耳を傾けた。




to be next...
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