休憩まであと三時間
各々準備をして、城を出ることになったので、急いで荷物を纏めに部屋へ行った。元々、持っている荷物は少なかった。部屋に残っていた物の中で、手放せない物だけを厳選して小さいリュックに詰める。
「……っと、」
枕元のぬいぐるみを、忘れない様に持ち上げる。昴の魔力は、もうほとんど感じないけれど、これは大事な物だ。置いていくわけにはいかない。私が居なくなったら、この部屋がなくなる可能性だってある。他の何を捨てられても構わないけど、これだけは、ダメだ。
…これは、私の宝物なんだ。
変に潰れたりしない様に最後にリュックへ入れて、部屋を見渡す。
「今まで、ありがと」
呟いた言葉は、静かに部屋に落ちていった。
*
「わーさむい〜」
「甘えるな!!心頭滅却すれば火もまた涼しだ!!行くぞ!!」
吹雪の中、キャロルと紅が二人で騒いでいるのを後ろから見つめる。昴がいるであろう場所へ向かっているのだが、こんな寒ければ先にこっちがダウンしてしまいそうだ。マフラーをグルグルと巻き直して、更に後ろを歩いているプリノを見る。何だか顔が青ざめている。寒いんだろうか。いや、はしゃぐ二人に不安になっているんだろう。
「安心しろ、プリノ」
「え?」
「二人なら大じょ……」
――ボフッ
よしよし、とプリノの頭を撫でようとしたら、私の横を雪の固まりが飛んで行った。その雪塊は地面の雪に埋もれていったが、更に違う雪塊が飛んできた。
その中の一つがべしゃり、と音を立てて、紅にぶつかる。
「寝たら死ぬぞーー!!」
「おもいっきり起きとるだろうがっ!!」
完全に遊びのテンションで楽しそうに雪を投げまくるキャロルに、紅が怒鳴る。プリノへ向けていた手を引っ込め、思わず頭を抱えてしまった。何だか頭痛がしてきた気がする。
「……心配、かも…」
小さく呟いた言葉を聞き付けたのか、プリノの顔色が青くなった。
相変わらずはしゃいでいるキャロルと怒鳴る紅を見て、プリノを見て、を何度か繰り返してから、プリノの腕を取る。キャロル曰く、昴がいるのはフリージアなのだから、そっちの方へ向かって行けば間違いはないだろう。大体の方角を確認して、足を踏み出す。プリノが驚いた様に目を見開き、キョロキョロと周りを確認しだしたので、よしよしと頭を撫でる。
「こっちの方向であってるはず。少し歩いたら休めそうな場所探すけど、それまで頑張れそう?」
「私は大丈夫です。キャロルと紅は…」
「ああ、あの二人なら放っといても勝手に着いてくるから大丈夫。プリノは何にも心配しなくていい」
プリノの手をしっかりと握り、視界を空いている手で確保しながら進む。
暫く歩いていると、さっきまでふざけていたキャロルがいつの間にか直ぐに後ろを歩いていて、その隣をブスッとした顔の紅が歩いている。
「おやおや、じゃれあいは終わったのか?」
「紅さんが思った以上にノリが悪かったので、今回の所はこれで終了です」
「勝手に雪玉投げてきて何を言うか!!」
「きゃー、頭かたーい」
「大概にしろよー」
さっきまでキャロルが紅を追い掛け回していたが、次は紅がキャロルを追っていた。本当に自由な奴等だなぁなんて呑気に見ている私も、プリノからしてみたら随分と自由なんだろう。
「今日中に目的地まで行きたいから、体力使いすぎるなよー」
「大丈夫です、紅さんは体力バカですから」
「誰がいつ体力バカになった!!」
どんな場所でも軸がぶれない二人はきっと安心なんだろうと勝手に思い込んで、プリノの手を引き先を見据える。
to be next...
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