不安な道筋
見慣れた道を、だけれど久しぶりだからか覚束ない足取りで進んで行く。城は見えるのに、近付けている気がしない。
風に靡く黒髪を掻き上げ、城を見上げる。
「久しぶりだな。
元気にしてるかな、昴」
小さく呟いて、また城に向けて歩きだす。歩き続けるにつれて、不安になってくる。
何年も前にこの土地から離れた。
その時、一つの大切なモノを壊してしまったかもしれないのだ。
もしかしたら…、
「…やめよう、昴なら大丈夫…」
己に言い聞かせながらも、足を止める。
情けないが、此処まで来て急に昴に会うのが怖くなってしまった。
カサカサと揺れる木の葉の音を聞きながら、目を閉じる。落ち着くまで周りの空気を遮断する。
「よし!…ってあれ?梅…?」
いつの間にか目の前に現れた白い子犬は可愛らしく頷いた。
もしかしたら、木の葉の音は風で揺れた音じゃなくて、この仔が通った時に出た音だったんじゃないか。
梅に視線を近付ける為にしゃがむと、梅は少しだけ近付いてきた。ちょこちょこと可愛らしく歩く姿は記憶の中と何も変わらない。
変わらないモノを見付けられた嬉しさからか、少し踏み出す勇気が出た。
「なぁ、梅。私と一緒に城まで行ってくれないか?」
梅は再び頷くと、真直ぐ城へ向かって走りだした。
「ちょ…早いよ、梅!」
少しゆっくりしていたら、梅を見失ってしまうかもしれない。折角、一緒に行ってくれるような雰囲気を出していたのに。
駆け足で梅を追い掛けて行くと、どんどんと城に近付いていく。
to be next...
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