大切と大切
――約束したのだ。
ずっと側にいると。
――決めたのだ。
これからはもう離れないと。
今の自分にとって一番大切だと感じるのは、毎日自分の元を訪れ、倒すのだと豪語したレベル0の勇者で。だから、彼女と離れるなんて考えられない。
昴は、全く目を覚ます様子のない遥の部屋を訪れていた。
遥が眠りについてから数日経ったが、一度も目を覚まさない。手に持ったままのぬいぐるみからは未だに昴自身が込めた力の気配がする。きっと長い間落ち着いて寝ていなかったのだろう。だが、何も食べずに眠る姿に不安を感じる。
このまま起きなかったらどうしよう。
不安から、昴は遥に触れる。手から感じる遥の体温に、安心して手を離す。
何度も繰り返すその行為に、昴は自嘲気味に笑う。
この温もりを失うことを恐れている自分がいるのが、おかしくて仕方ない。
暫く部屋に滞在した後、昴は自室へと戻る。
廊下に響く自身の足音を聞きながら、ふと小桃の事を考える。
からかうと直ぐに赤くなる。
地道にお金を貯めているらしく、勇者のレベル資格試験は受けてはいないようだ。将来、家を建てるのが目標らしい。
本当に素直な良い子だ。
彼女に殺されるのなら、それも良い。本気でそう思った。
本当に、自分は彼女が好きだ。その気持ちに嘘はない。
だから、あの手を離す決心をしたのだ。
to be next...
ALICE+