タイタン発進
魔王をやめた、と。
本気だと。
そう言った昴の言葉に、遥は腕の力が抜けるのを感じた。支えていた扉が音を立てて閉まる。部屋にいた全員がそちらを見ると、遥に気付いた昴が目を見開く。
「……遥…?」
聞かれていたのか。
出来れば違う形で伝えたかった。色々な話をして、自分の考えを伝えた上で聞いて欲しかった。お願いだからそんな顔をしないで。そんな、絶望を感じた様な顔をしないで。
「すば……る…?」
「今の言葉聞きましたよ!」
小さく紡がれた遥の言葉と焦った様な小桃の言葉を遮って、勢い良く扉が開かれた。そして昴の部下と思われる男達が部屋へ入ってくる。
扉の前にいた遥は、急な展開に身体がついて行かず、勢いに圧されて床へと倒れる。
その瞬間、昴がピクリと反応を示したことにその場にいた誰も気付かなかった。乱れた魔力に違和感を抱いた遥以外は。
部屋に入ってきた部下の一人が先頭に立ち勝ち誇った様な笑みを浮かべ、昴に不信感を抱き自分が次の魔王になるのだと豪語している。
その様子を昴本人は至って不真面目に見ているが、周りの部下や小桃は怒りを顕にしている。
ふらふらと立ち上がった遥は昴への反乱を企てた部下達から離れ、昴の元へと近付く。
昴は簡単に遥の身体に傷が確認していく。遥は昴の顔を見つめ、先程の言葉の真意を問おうか悩む。だが、今はそんな状況でもない。段々ヒートアップしていく周りの空気に、昴は部下を見やる。
「やはり貴方には消えて頂こう!」
リーダー格の男が指を鳴らせば、どこからともなく地鳴りの様な音が響く。昴はそれに怯えることなく、むしろお腹を抱えて笑い出す。すごいセリフセンス…、と呟く昴に対し、小桃は怒りを向ける。
小桃が昴に対して、とても親しい相手に向ける様な口調であること、昴が小桃の態度を全く気にしていないことを遥は不思議に思う。自分がいない4年余りの間に一体どの様に知り合いどの様に親しんでいたのか。
分からない事だらけの遥は小さく首を傾げる。
「さあ、今こそ目覚めの時!出でよタイタン!!」
男が高らかに叫ぶと、続いていた地鳴りがどんどんと部屋に近付いてきて、巨大な物体により壁が破壊された。
二頭身のその物体は、丸い手足をして少女の様な出で立ちをしており、胴体には『コモタン(はーと)』と書かれていた。
to be next...
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