周りの女の子に嫉妬する
涼太がモデルとして活躍し始めたと聞いて、興味半分茶化し半分で雑誌を買ってみた。パラパラとページを捲ってみると、そこには私の知らない涼太がいた。これは女子がカッコいいと騒ぐ黄瀬涼太だ。何だか変な気分になってきて、雑誌をカバンに乱暴にしまって学校へ向かう。きっと涼太はそわそわしているだろうし、女子は涼太に声を掛けようと周りを囲おうとしているだろう。今はそんな光景見たくない。
「黄瀬くん!雑誌見たよ!」
「私も!かっこよかった!」
きゃーきゃーと所謂黄色い声を発しながら、女子が集団になっていた。その中心に黄色い頭が見えていて、涼太がいるなぁ、なんて軽く思う。
じっと見ていると、囲まれてて嬉しそうに笑っている様に見える涼太と、ばちりと目が合った。
お は よ う
口をパクパクさせている涼太に気付かないふりして、私はその場から立ち去る。今は何か、涼太と話すのがイヤだ。
後ろから涼太と話をしようと必死な女子の声がするのが無性に腹立たしい。
*
「今朝、何で無視したの?」
「……」
「聞いてるんスか?」
「……」
涼太の問い掛けに答えないでいると、分かりやすい位に大きな溜め息を吐かれた。
こんな態度を取る私に呆れているのだ。私だってこんな態度を取られたら溜め息吐くだろうし、それだけじゃ済まないだろう。辛抱強く私の返答を待っている涼太はすごいと思う。
「あーあ、友達だと思ってたのは俺だけってことか」
「…!」
「もう帰ろ」
その場を立ち去ろうとした涼太の制服を思わず掴む。涼太が何だと言いたげな顔で私を見る。私だってまさか服を掴むなんて行動をするとは思わなくて、ビックリして涼太を見る。
「…ははっ!何スか、その顔!」
「…え、笑わないでよ!」
「大丈夫、置いてかないっスよー」
「……涼太のばーか」
「は?大体アンタが俺の質問に答えないのがいけないんだろ?」
またもや呆れた顔をした涼太だけど、さっきと違ってそこには笑顔がまじっていた。不本意だが、さっきの私の行動が涼太の機嫌を直したみたいだ。
今なら、言える気がする。
「涼太がさ…」
「ん?」
「女の子に囲まれてるの、何か嫌だった」
涼太からちょっと目を反らして言ったら、涼太がちょっと間を開けてから私の頭をぽんぽんと撫でてきた。よしよーし、と言っている。ぶんぶんと涼太の手を振りほどこうと頭を動かすと、涼太が私を抑えつける様にぎゅっと私を抱き締めてきた。
「…涼太!?」
「何それ、嫉妬っスか!かっわいー!」
「ちょっ…嫉妬じゃないっ!」
嫉妬なんて私がするわけない。否定する為に首を振ろうにも、涼太が私をしっかり抑えていて動けない。涼太を引き剥がそうとするけど、力の差が歴然としてきて虚しくなった。
「涼太…」
「心配しなくても、どんな女の子より光儚が大事」
「……ずるい…」
口説き文句がくさすぎる。でも、涼太だから様になる。ホントにずるい。
20141018
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