イザヤ

2019/06/02

Dlma
自分の身体があった。なるほど死ねないわけだ、と二度ほど訪れた静寂のことを思い返した。客観的に自分の身体を眺めるなんて体験はきっとそうそう無い。規則的な波形は、たしかに生きていることをしめしている。
そして、気の毒なほどに管が通された脳。きっと、研究書を信頼するならば「Alma」のものなのだろう。こんな風にされてまで生かされている、女に同情していた。かわいそうだと思った。幾度も目の前に現れた、虚空を携えた女。そして、ふと、脳に流れてきた映像でみた少女。あれがそうだとしたら、…かわいそうだ。自力で死ぬこともできない。
音楽家は脅威だから、と電源をオフにすることに同意した。
たしかに、脅威だ。
あの触手のような化け物も、「Alma」も。
でも、それらは、俺が生きるためにここで死ぬ必要はあるのだろうか。女は何を思って度々目の前に現れて、どう、したいのだろうか。
脅威、それは俺たちにとって都合のいい言葉でしかない。

音楽家の手で停止した機械と引き換えに甲高い音が響いた。
せめて安らかに。
閉じた瞼の裏でーーーーの姿と女が重なった、気がした。

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