たくはじ
2019/07/22
抜けない!
「今日は僕が上がいい」、と、そう袖を引かれた。甘えるような視線の奥にわずかに迷いがあるような、妙な表情をしていた。それが愉快だったので、大人しく巧の首に腕を回して擦り寄った。「どうぞ?」言葉と行動に、どこか馬鹿にされた意図を汲み取ったのか巧は不愉快そうに眉を顰めたが、重力のままにベッドへ沈んだ。
「……」
「……っ、」
いつもよりぎこちなく響くスプリング音。見上げてみれば、平常なら愉快そうに人を眺めている瞳が曇っている。「…巧」と、名前を呼ぶとぴたりと動きを止めた。
「……抜け」
「……」
ショックなのか、思い起こした記憶のせいか巧は素直に引き抜いた。
ーーー