おもいだすということ
2019/06/02
あめのひ
雨音が嫌に耳に障る。
ゆらりと、波間に漂うような意識が窓を打つ水音のせいで急に引き揚げられた。
時刻はまだ朝というには早すぎる。中途半端な覚醒に苛立ち、重い身体を持ち上げてリビングへ向かう。自宅とは違い最低限のものだけが立ち並ぶそこは、僅かに明けた夜のせいで灰色がかって見える。寒々しい。ソファに腰掛けタバコに火をつける。
雨ーーそういえば、あいつを初めて認識した日も雨だった。「園崎くん、」雨に混じって遠くから響くような声に自嘲の笑みが漏れる。人は音から忘れるというが、纏わり付くように名を呼ぶ声を未だ忘れない自分に、少しばかり落胆した。
はじたくはじ