幼い頃から、私は他の子達とは違っていた。孤児院で育った私は特にそれが顕著ですぐさま理解できた。魔法使いなんだと。そしてここが小説で有名な魔法の世界なんだってことを。
名前を聞かされたときから、可能性の1つとして考えていたけれど、まさかそれが本当なんだって思いたくなかった。
列車のコンパートメントで一緒になったライトブラウンの柔らかな色を持った少年に微笑む。彼は幼い故の拙さはあれど、頭は良いらしく話しやすくてすぐに意気投合した。
「僕はリーマス・J・ルーピン。君は?」
「私はname・M・リドル。よろしく、リーマス」
握手を交わして列車に揺られた。
リーマスがいるってことは親世代。このまま進めばジェームズとリリーは死んでしまうんだろうけど、私にはどうでもよかった。
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どうでもいいと思ったことがいけなかったのだろうか。私はいまジェームズに逆さ吊りにされてる。背後から急に襲われたためにまだ杖は手にある。
度重なるセブルスへの嫌がらせに見かねた私が手を出した結果だ。
意地悪く口元を吊り上げるジェームズとシリウス。彼らをハリーに見せてあげたいなんて思いつつ、私も笑みを浮かべた。
「いい格好だねぇ。主席の監督生さん?」
「パンツ丸見えだぜ」
「あら、ありがとう。ふふ、見るのは下着だけでいいのかしら?」
逆さになったローブを脱ぎ捨て、辺りを窺う。もちろん相手に気取られずに、けれど正確に。
禁じられた森に近い場所で吊り上げているジェームズと杖を弄んでいるシリウスのみだった。
「とても稚拙ね。私じゃあ思い浮かばないわ」
「君が思いつかないなんて、僕らは天才だと思わないかい?パッドフッド」
「もちろんだともブロングス!」
笑いあう二人に今かと袖に隠しておいた杖で、無言でシリウスに武装解除の呪文を放つ。弄んでいたシリウスの杖は弧を描き、地面に落ちた。続け様に縛り上げる無言呪文を放つ。空中で揺すられるが想定内。蛇を召喚しジェームズを襲わせて、浮遊術の解除呪文を唱えて地面に降り立った。瞬間に武装解除させる。蛇は噛むことなくジェームズを縛り上げた。土に音を吸収されて、杖は転がった。
「とても素敵な姿ね」
「ご丁寧にどーもっ」
「ふふ、インカーセラス」
ジェームズを縛り上げて、2人分の体重を支えるのがやっとの木の枝に吊るした。蛇に礼をいい、還して悔しそうに歪む顔に身なりを整えて微笑む。
「今回はいいところまでいったから、そうね、70点ってところかしら。私がローブと共に落とした小枝が杖だと思ったのだとしたらまだまだね」
「いちいち点数つけてんじゃねーよ!」
「指摘もいらないね!」
「あんまり暴れると折れるわよ」
魔法を掛けておいたから、落ちたところで怪我はないでしょうけど。
櫛でぼさぼさになった髪を撫で付ける。黒い艶やかな髪は曲がることなく重力に従った。
「僕に対しての当てつけかい?」
「貴方の髪は大変そうね」
本音だ。この姿になって親に感謝することは容姿と頭の良さと魔力だ。この、言いようのない心の穴も、セットだけれど。
「スリザリンのクソ女が」
「ふふふ。ブラック家の貴方がスリザリンだのグリフィンドールだの言うの?まるでお母様みたいね」
「…っ!!あのやろ…っ!」
「シリウス!」
見えるように嘲笑してその場を去る。スリザリンだとかグリフィンドールだとか。純血、半純血、マグル生まれ。本当に
「くだらない」
似ている親と私が唯一違うと断言できるのはここかもしれない。否、もしかしたらただ差別したほうが支配しやすいと考えたか、ある一種の憧れかもしれない。可能性を考え出したら限がなく、次の授業へと意識を移した。
20150816
次もかけたらええなぁ…
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