こんなに歩いたのいつ以来だろう。
ずっと引きこもってた。
外に出ても海岸でたまに顔を出すホエルコを見てぼーっとするだけ。
ポケモンとバトル?そんなのしたことない。
コトキタウンを出る直前に私を呼び止めたフレンドリィショップの店員さんからもらったキズぐすりをアチャモに吹き付ける。
飛ぶのは楽そうだけど登るのは大変そうな段差を回り込んで、話をしているトレーナーたちに目を向けた。
その2人の足下には、キモリとミズゴロウ。
その姿を捉えたのか、アチャモは急にテンションが上がったようで大きな声を上げながら走り出す。
「ちょっと待ってよ……!」
あのひよこ……!
溜め息をついてアチャモを追いかけるように走り出した。
速い、速いんだけど。
なんであんなに速いの、あの子の特性はもうかでしょう。
がさがさと草むらを足音を大きくしながら走ってアチャモを追いかける。
待って待って。
走るの慣れてないの。
「チャモ!」
「ゴロ〜」
「……キモ」
そんな私の視線の先で、アチャモはトレーナー2人のキモリとミズゴロウとじゃれ始めた。
きょとんとする男の子と女の子。
ポケモンたちはさも当然のようにじゃれているけど、私も含めてトレーナーは状況がよくわからない。
「……もしかして、研究所にいたアチャモ!?」
頭にリボンをつけた可愛らしい女の子がしゃがみ込んでアチャモに手を伸ばす。
アチャモは肯定するように元気に鳴くと、その手を嬉しそうに受け入れた。
「ご、めんなさい……私のアチャモが、」
「君のアチャモ?」
「えっと、さっき研究所で、オダマキ博士にもらって……」
同じくらいの年の子と話すのっていつ以来だろう。
説明をしてる私の言葉を男の子は頷いて、言葉が出るのを待ってくれてる。
「そっか、オレもちょっと前にもらったんだ。君、名前は?オレはユウキ、こいつは相棒のミズゴロウ」
「ジゼル。この子はさっき一緒になったアチャモ」
「あ、私はハルカ!パートナーはこのキモリなの」
よろしくね、と笑ってくれるユウキとハルカ。
つられてちょっと笑顔をしてみたけど、少し恥ずかしくてすぐ俯いてしまった。
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