焦げてるケムッソやポチエナがかわいそう……
勝手に草むらに入ったのは私なのに遠慮なくヒエンのひのこ≠やっちゃってごめんね……でもおかげでヒエンのことがわかってきました。
やんちゃというか勇敢というか。
この子は相手のポケモンがどんなに大きくても強くても向かっていくのだろう。
ちょっとオレンジの毛が汚れてるなぁ、少しケガもしてる。
一度草むらから出て、ヒエンの体にキズぐすりを噴きかけた。
このくらいの軽いケガならたちまち治せるらしい。
ついでにバッグの中からタオルを出して汚れてるところを拭いてやる。

「チャモ!チャモチャモチャー!!」

「くすぐったい?」

「モチャ!」

「でもほら、汚れてるから拭こうよ」

トウカシティまでにまだまだ汚れると思うけどさ。
大体の汚れを落とせたのを確認して、それからヒエンの首元を撫でた。
気持ちいいのか、さっきの拒否感が凄い声から一転して気持ちよさそうだ。

「ジゼル!」

コトキタウンの方角から聞こえた私の名前。
女の子の声に振り向くと、ハルカが手を振ってこちらに向かっているのが見える。
ハルカは追いついた!と安心したように笑うと私の腕を取った。

「よかったー!意外と早かったから追いつけるか心配だったの!!」

「あ、うん。ここでポケモンとバトルしながら進んでるから……」

「そっか。アチャモを育ててるんだね」

昨日よりは自信持って指示出せるようになったし、少しは進んでるのかな……?
ハルカはうんうんと頷くと、ニカッと笑う。

「ジゼル、ポケモンの捕まえ方教えてあげるね」

私の手を引いてハルカは草むらへ。
ユウキには教えたけど、ジゼルには教えてなかったから追いかけてきたの。
そう言ってハルカはモンスターボールを握りしめて進んだ。
わざわざ追いかけてきてくれたんだ。
……なんか、嬉しいな。

「捕まえる時は少しバトルして疲れたところにボールを投げるの。実際に私がやってみせるから、見ててね」

しばらくがさがさと草むらを歩いていると、飛び出してきたのはジグザグマ。
ハルカは持っていたモンスターボールからキモリを出した。
キモリは私と、その足下にいるヒエンに気がつくと鼻を鳴らしてジグザグマに向き合う。
なんかプライド高そうだなあ……
見ててねって言われたし、ちゃんと見ておこう。
ハルカがキモリに指示を出す。
キモリは素早くその大きな尻尾でジグザグマをはたく≠ニ、じぐざぐなたいあたり≠繰り出すジグザグマを避けた。
ちらりとヒエンを見ると、とても真剣な表情だ。
追いつきたがっていたキモリだもんね、いつか、バトルしたいよね。

「お願い、モンスターボール!」

何度かキモリのはたく≠ェ決まり、ジグザグマがよろめいて勢いがなくなってきたところでハルカがモンスターボールを投げる。
ボールはジグザグマに当たると、閃光と共にジグザグマが開いたボールの中に入った。
カタカタと揺れるボール。
ハルカとキモリ、私とヒエンが緊張した面持ちで見守る。
それは大きく3回揺れると動きを止め、カチッとロックがかかる音を立てた。

「やったあ!どうジゼル!こうやってポケモンを捕まえるの!!」

「……凄い。ポケモン捕まえるの、初めて見た」

「ほんと?じゃあジゼルの一番だね!」

照れ臭そうに笑うハルカに釣られて私の頬も緩む。
キモリもどうだと言わんばかりにヒエンを見て胸を張っていた。

「こうやって、いろんなポケモンを仲間にして、冒険するのも楽しいと思うんだ」

「……私にも、できるかな?」

「大丈夫!アチャモもついてるんだから、自信持って!!」

「ん……ありがとう、ハルカ」

「どういたしまして。あ、これジゼルにあげる」

ジグザグマの入ったボールをしまって、それからハルカは何かを取り出すと私に差し出す。
両手を出すと、そこに乗せられたのは圧縮されたままのモンスターボールが数個。
……え、いいの?
モンスターボールって纏めて買うと意外と高いのに。

「私からの餞別。……そんな不安そうな顔しないの!ジゼルもたくさんのポケモンたちと出会って、ホウエン地方を回ってね」

私を励ます言葉に、さっきより頬が緩むのを感じた。
うん、頑張ろう。
こんなに素敵な人が応援してくれるんだもの、不思議と力が湧いてくる。

「ありがとう、ハルカ」

少し先が楽しみ、だ。


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