トウカシティのジム、そこのジムリーダーを務めるのはユウキのお父さんであるセンリさん。
ユウキとセンリさんは親子同士、積もる話があるのだろう。
邪魔にならないように隅によって私はじっとしていた。
ここが、トウカシティのジムかぁ……
ジムなんて入ったことないし、そもそも私の住んでいたミナモシティにはジムがない。
あ、ジム自体がホウエン地方の各地にあって、ホウエンリーグから指名されたポケモントレーナーがジムトレーナーになるのは知っている。
どんなところかは、兄さんからの話やテレビとかで見聞きしたことしか知らなかったから新鮮だ。
ユウキとセンリさんの話のきりが良さそうになり、ユウキが私を振り返った時、ジムの扉が開いた。
「あの……僕……ポケモンが欲しいんですけど……」
入ってきたのは、少し気弱そうな薄い緑の髪の男の子。
……なんか、ラルトスに似ているなぁ。
色合いが。
私と目があって、軽くこちらが会釈すると彼もそれに応えるように頭を下げる。
センリさんはそんな彼をミツルくん≠ニ呼んだ。
今日から親戚のいるシダケタウンに行くらしいミツルくんは、寂しいからポケモンを連れていこうと思ったらしい。
確かに、ポケモンがいると寂しくないよね。
実際、私はルルがいるだけで全然寂しくなかったから。
そんな彼にモンスターボールをひとつ渡したセンリさんは、ユウキに付き添うように言う。
……え、ユウキ行っちゃうの?
少し戸惑ったらしいユウキは一度私を見た。
まあ、初めてポケモンを捕まえるミツルくんには付き添いがいてあげた方がいいんじゃないかな?
大丈夫だよ、と口の動きだけで言えば、通じたのか、ユウキはミツルくんと一緒にジムの外へ。
ジムに残ったのは、私とセンリさん。
ううん……初対面だから気まずい……
キョロキョロと落ち着かない私に痺れを切らしたように、ルルのボールが揺れる。
「えっと……その」
「ユウキのお友達かな?」
「あ、はい。ミナモシティの、ジゼルといいます……」
「そうか……君がオダマキ博士の言っていた……」
何を言ったんだろう……また兄さんからの話かな?
彼の妹さんだと聞いたよ、と兄さんの名前を出すところから兄さんとも知り合いらしい。
そろそろ兄さんの人脈が不思議になってきた。
一体何の関係なのか……兄さんどんな仕事をしてたのかもよく覚えてないからそっちの関係かな?
こうやって考えると怖いからって今まで話さなかったことがもったいなく感じる。
センリさんは私と、私の腰についているボールを見比べると目を細めて表情を和らげた。
「まだまだ不安なことの方が沢山あるだろうけど、ジゼルちゃんと君のポケモンたちならこの旅は乗り越えられると思うよ」
「そう、ですか……?」
「ああ。──さて、ジムに挑戦するんだろう?」
──そうだ。
ミナモ シティに帰るには、秘伝マシンを手に入れて、それを使うためのジムバッジが必要だ。
頷くと、センリさんは、なら、と言葉を続ける。
「この先にあるカナズミシティにいるツツジというジムトレーナーがいる。彼女を始めとする各地のジムトレーナーと戦い、バッジをいくつか集めてきなさい」
「……バッジを」
「ジゼルちゃんがいろんなものを見て、いろんなものを感じ、強くなってから私とバトルをしよう。君のような子が、どう強くなるのか……見てみたいからね」
強く……
強くなるってどういうことだろう。
そもそも弱いってなんだろう。
それも知ることができるのかな、また、ここに来たら。
「焦らなくていい。私は待っているから、行っておいで」
「いってきます……?」
そういえば、父さんや母さんに行ってきますって言ってなかったなあ。
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