あの後センリさんにマルチナビに新しいアプリを入れてもらって、ユウキとミツルくんとで少し話をしてからポケモンセンターに戻った。
ミツルくんはゲットしたポケモンが入ったボールを嬉しそうに大切そうに持っていて、とても微笑ましい。
ユウキはこのままカナズミシティを目指すらしい。
早くバッジを集めてセンリさんとバトルをしたいんだって。

「とりあえず私はミナモシティに帰りたい。そのためには秘伝マシンとそれを扱うのに必要なバッジがいるのでジム回ろう」

動機がなんとも言えないものだけどね。
でも、ルルもヒエンもラルトスも、私の言葉に頷いてくれた。
もしかしたら、ミナモシティに帰るまでになにか変わるかもしれない。
先のことなんてまだ誰にもわからないし、いくらポケモン図鑑を理由にしていいとはいえ、それではダメな気がする。
何がダメなのか?
そんなの私にもわからない。
でもダメだと思うんだ。
ポケモン図鑑を持って、このホウエンを回る。
兄さんに帰ってくんなって言われたけど、顔を出すなとは言わなかったし。
まだまだ始まったばかりだから、私が欲しい答えとかヒントとか、もしかしたら予想もしない何かが見つかるかもしれない。

「始めは、カナズミシティのポケモンジム。トウカの森を抜けた先にある街ね」

私がベッドに腰掛け床にマルチナビを置くと、ヒエンとラルトスがそれを覗き込む。
ルルはベッドまで上がってくると、そのままぴっとりと寄り添ってくれた。
それに甘えるようにルルに寄りかかると、低く喉を鳴らす。
ラルトスはそんな私たちを見ると、幼く拙い声で『いいなぁ』と呟いた。
……気のせいかな、ラルトスの目は前髪に隠れていてベッドの上からじゃ見えないんだけど、キラキラ輝いているような気がする。
ヒエンはヒエンでルルに威嚇するように毛を逆立てているし……仲悪いの?

「そうだ、ラルトスの名前、考えなきゃね」

『!』

女の子だから、綺麗な響きの名前とかそういうのがいいかな?
どう?とラルトスに聞けば彼女は小さく首を横に振った。

『ジゼルさまが、わたしのためにつけてくれたのなら、わたしはそれがいいです』

「んん……そう言われるとあれだね、逆に責任感が芽生えるというか……」

「チャモ!」

「グウウ」

ヒエンとルルが肯定するかのように頷く。
そんなふたりは自分の名前はどう思っているんだろう……
特に、小さい時にルルと名付けた彼は。
……まあ、何年も経っているし、今更聞かなくってもいいかな。
ヒエンはラルトスと何かを話すようにように鳴いて、ラルトスはラルトスでそれに頷いたりして応えていた。
ラルトスとは仲は悪くないんだろうな……なんでルルとは悪い、というか一方的に威嚇しているんだろう。
残念ながら私はトレーナーなのにわからない。
ルルはともかく、ヒエンとはまだまだ付き合い短いから。
だからかな、ルルは悪くないし、きっとヒエンも悪くないんだろうなって憶測みたいなことしか言えないのは。

「ラルトスの名前は明日までに考えるよ。明日は少し早めにトウカの森に向かいたいから、今日は寝よっか」

コトキタウンからここまでさすがにスローペースだったし、こんなんじゃいつまでも進めなさそうで嫌な予感しかしない。
ヒエンとラルトスをボールに戻し、それからルルのボールを手に取る。
それをルルに向けようとしたら、ルルはそのままベッドに伏せた。
……えっと、これはつまり……

「添い寝?」

「ガウ」

あ、そう?
じゃあお言葉に甘えようかな……
三つ編みに結っている髪を解いてベッドに横たわる。
手をルルに伸ばして、わしゃわしゃと少し乱してから目を閉じた。

「おやすみ」


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