ドキドキする。
トレーナーとポケモンバトルをしたのはミシロタウンを出て数回だけだった。
ルルは元々能力高いのかな、ルルが苦戦なんてなかった、ちょっと誇らしかったけれど、怖くもなった。
私、ルルに相応しいトレーナーなのかな?
もしも、もしもヒエンやレイン、ミドリを勝たせてあげることができたなら、ルルに相応しくなれるだろうか。
ルルのつじぎり≠持ちこたえたイシツブテを見ながら次の指示を考える。

「イシツブテ、避けなさい!」

「ルル!もう一度つじぎり=I!」

お願い、これで決まって!
速い踏み込みでイシツブテに追いついたルルが大きく頭を振りかぶった。
指示を出すこちらにまで空気を伝う衝撃、同時に巻き上がる土煙。
少しの間を置いてそれが晴れる。
あと目を回し倒れている相手のイシツブテ、鼻を鳴らし胸を張って立っている私のルル。

「イシツブテ戦闘不能!アブソルの勝ち!」

審判のコールに胸を撫で下ろした。
よし、あと一匹……
イシツブテをボールに戻したトレーナー──ジムリーダーのツツジさんは次のボールに持ち替えると笑ってルルを見る。

「よく育てられているアブソルですね。けれど、次はそう簡単に行きませんよ!」

ツツジさんが声高らかに次のボールを投げた。
出てきたのは初めて見るポケモン。
こっちに背中を向けている。
図鑑を開いてそのポケモンを読み込んでいると、ツツジさんは満足そうに頷いていた。

「わからないことはすぐ調べる……とてもよい心がけです」

わかるのは名前くらいだけどね。
けれど、多分岩タイプだ。
ここのトレーナーも、ツツジさんも、岩タイプを出してきたもん。
このままルルとゴリ押しで行こう。

「ルル、つじぎり=I」

「ノズパス、がんせきふうじ≠!」

ルルが動かないポケモン──ノズパスに向かって走り出した。
相手の技でフィールドに岩が出てきて、ルルの行先を順に塞いでいく。
……待って、こっからじゃルルの姿が見えない。
上がる土煙を目を凝らして見ていると、ルルの攻撃が当たったのか、ノズパスは苦しそうな声を上げていた。
……それでもノズパスは倒れない。
ここのイシツブテたちといい、ノズパスといい、なんでルルの強烈なつじぎり≠ナ倒れないんだろう?
高く積み上げられた岩に跳び乗るルルが少しケガしてるのを見て、慌てて残りの体力を確認した。
うん……まだまだ大丈夫。

「不思議ですか?イシツブテもノズパスも倒れないのが」

ツツジさんがノズパスにいいキズぐすりを吹きかけてにっこりと笑う。

「ポケモンはよく育っているのに、あなたはまるで初めてバトルを経験したような顔をなさいますね……特別です、バトルの途中ですが教えてあげますよ」



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