─side:ツツジ─

「特性はご存知ですか?ポケモンそれぞれにある謂わば個性のひとつです。イシツブテたちとノズパスの特性は頑丈=c…その名の通りですが、体力が満タンなところから瀕死になるような攻撃をギリギリ耐えることができます。あなたのアブソルは……私のポケモンたちのPPは削られてませんから、プレッシャー≠ナはなく強運≠ナしょうね」

自分のポケモンと私のノズパス、そして図鑑を確認しながら目の前のトレーナーが初めて知ったとばかりに感嘆の息を漏らす。
アブソルという、ここらでは見ないポケモンを連れているのにどうやらトレーナーになりたてのようですね。
ちょっと前に来た少年少女より知識は少なめみたい。
よく育てられているアブソルと、新米トレーナー。
どこかちぐはぐだ。
目の前の少女──ミナモシティのジゼルさんは、図鑑をしまうと次の指示を出すために一息吐いた。
いくら新米トレーナー向けにと、同じくらいのポケモンでバトルしているけれどきっとノズパスは倒されてしまうのでしょう。
そのくらい、あのアブソルは強い。
ただトレーナーが無知に等しいのだ。

「じゃあ、最初少し体力削ればいいのかな……」

でんこうせっか
そう声高らかに指示を出す。
頭の回転は早いみたいですね。
でんこうせっか≠フ威力は特別強いわけではないけれど、素早さの低いこちらとは分が悪い。
ノズパスが避けられないのはわかりきっていることだ。
ならば──次に備えて攻撃を!

「そのままがんせきふうじ≠ナす!」

「避けてつじぎり≠オて!」

頑丈≠抜きにしても、新米トレーナー向けのノズパスにほとんど成長したアブソルを相手にするのは重荷でした。
がんせきふうじ≠ナ舞い上がった粉塵。
それにお互いのポケモンが覆われて指示も出せずに時が止まる。
さあどうでしょう。
あのアブソルが立っているのか、それともノズパスが立っているのか。
やがて粉塵も薄くなり、そこに立っているポケモンが見えた。
立っていたのは4本足で地面をしっかりと捉えている──

「ノズパス、戦闘不能!アブソルの勝ち!よって勝者、ミナモシティのジゼル!!」

ああ、やはりあのアブソルには敵いませんでしたか。
多少の傷はあるもののしっかりと立っていたアブソルと、完全に目を回しているノズパス。
ジゼルさんはポカンとした表情を浮かべ、アブソルが叱咤するような鳴き声に明るい表情を浮かべた。
……お疲れ様でしたノズパス。
ボールにノズパスを戻してちぐはぐなひとりと一匹へ視線を向ける。
どんなにちぐはぐに感じても、今見る限りこの前の少年少女と同じ新米トレーナー、こうしてジム制覇に向けて一歩を踏み出したことは激励してあげましょう。
彼女に渡すものを渡すべく、喜んでいる彼女に足を向けた。



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