ちょっとした話をしよう。
オカルトだとか、厨二だとか、妄想だとか、好きに捉えてくれて構わない。
でも私は嘘はつかない、それは本当。
私の昔話。

ある時は忍者だった。
それなりに手練れでいろんな任務についた、もちろん人だって殺した。
ある時は海賊だった。
自由を求め、財宝を求め、夢を求め、広い広い海の冒険者だった。
ある時はマフィアだった。
社会の闇に足を突っ込んで、光から逃げるように生きていた。
ある時は魔法使いだった。
あんな非科学的なものを自分が使いこなせていたなんて今でも不思議だ。
ある時はただの一般人だった。
極々普通の、どこにでもいるような平凡な人間だった。
ある時は外国人で、ある時は男で、ある時は女で、ある時は犬で、ある時は猫で、ある時は──ある時は──……
だからかな、知っているんだ。
人の殺め方を、海の渡り方を、銃やナイフの扱い方も、魔法なんて非科学的なものの使い方も、異国の言葉も、異国の文化も、男の気持ちも女の気持ちも犬の気持ちも猫の気持ちも──

信じなくてもいい。
私が話したかっただけなんだ。

好きな人がいた、嫌いな人がいた。
不思議と浮かんでくるのはたくさんの違う顔なんだ、みんな違う人なんだ。
たくさん浮かぶ人たちは確かに私が好きだった人、たくさん浮かぶあいつらは確かに私が嫌いだった人。

いろんな死に方をした。
刺されて、斬られて、絞められて、焼かれて、盛られて、潰されて、沈められて、撃たれて、衰弱して──どの死に方も痛くて苦しくて。
だから知っている。
死ぬのは怖い。
楽な死に方なんてない。
私は生きていたい、生きていたかった。

けれど怖いことや痛いことだけじゃなかった。

人の愛し方を、学んだ気がした。
好きだからって離れてはだめ、愛してるからって言わないのもだめ。
ちゃんと伝えなきゃだめ。
だってその後に泣くのは私なの、好きで好きで仕方なかったのに伝えられないまま彼が彼女が行ってしまったり逝ってしまう時もある。
だから言わなくては。
彼や彼女からの好意や愛情が必ずしも貰えるとは限らなくても、私は好きよ愛してるよって伝えないといけない時もあるの。
何故って私が後悔するから、後悔してきたから。

あと、最近は目が覚めると自分がいた世界ではないのでは、なんて錯覚もあるかな……まるで夢から覚めきれないような、記憶が混ざるような、そんな感覚を伴うよ。
ちょっとズレちゃったね。
改めて私の話を聞いてほしい。
先に言った通り、どう捉えても構わない。
だって誰が聞いてもおかしいとか思うもの。

私が──いろんな並行世界で生きていた、生きている、そんな不思議な話さ。


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