──あなたにそっちの世界は似合いませんね。幸せごっこ、平和ごっこがお好きなんですか?
大学の講義を受けてる最中に思い出した。
私≠ェ言われた言葉。
私ならいい、本当のことだもの。
幸せになりたいし平和に生きたい。
可愛い園子と楽しく笑い合える世界に合わないのもわかってる、こんなだもん。
幸せごっこも平和ごっこも楽しいとも、好きだとも。
でも私≠ヘ少し違う。
自分がおかしいのは薄々わかっていてもなんでかなんてわからない。
なんでこんな知識が、技術が、考えが、身につけた覚えがないのにあるのだろうって戸惑いながらも生きていたはずだ。
園子を可愛がっているのも本心、あの日ジンを助けたのも本心、なんともない日々が好きなのも本心、どっちにいてもおかしくない立場にいても、揺らがないのは全部が本当だったから。
それをあの言葉で崩されてしまってショックだったんだ。
ごっこなんかじゃないのに!!

「……思い出したら腹立ってきたな」

お前もどっちだよ!!アルバイトしながらあの組織なのか、あの組織にいるけどアルバイトなのか!!
ブーメランって知ってる!?お前にピッタリの言葉だよ!
ジンと家に侵入してきた時に思い出せてたら1発ぶん殴ったのに!掃除機で!
言葉の端々をぼかしながら公園で偶然出会ったコナンくんに言うと、コナンくんは苦笑いを浮かべた。
私のコナンくんへの一言はこうだ。
──アルバイトやってる30手前の自称探偵っていう人間に今の気に入ってる生活馬鹿にされるように言われたら腹立たない?

「こちとらちゃんと大学行って勉強しとるわ!!おめーが言うなや!」

「ま、まあまあ落ち着いて!!ね?ちゃんと聞くからさ!」

「あー一度でも傷つけられたのが悔しい!今度あったらけちょんけちょんにしてやる!身体的にも精神的にもな!!」

「綺羅さーん!!言葉遣い!あと少し重いから……!」

ベンチに座ってるコナンくんの膝に縋り付いて泣く真似をすると、おざなりに頭を撫でられる。
……意外と悪くない、もっとして。

「……私≠セって、幸せに平和に生きていくために必死だったのに」

「綺羅さん……」

目元にじんわりと涙の膜ができる。
悔しい、悔しい、悔しい。
悲しい。
わからないクセに知らないクセに口を開かないでよ。
私≠ェ必死に生きてきたところを見てないでしょう?知らないでしょう?
なんでわかったように言うの?
すんっ、と鼻を啜るとコナンくんがポケットティッシュを私に差し出した。
体を起こしてからそれを受け取り、ちーんと鼻をかむ。

「……悲しかったね」

「うん……」

「僕は知ってるよ。綺羅さんが一瞬一瞬を一生懸命なの」

「ありがと……」

「園子姉ちゃんには言えないもんね」

「あの子に泣きついたら姉ちゃん分として立つ瀬なくなっちゃうからね。ありがとう、コナンくん」

あ、このこと園子には内緒にしてね?
少し鼻声で言うと、コナンくんは困ったように笑って頷いた。
ちなみに私は脳内でアップを始めました。
あの童顔けちょんけちょんにしてやる。


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