突然ですが私は現在とあるビルの屋上で扉の押し合いをしています、相手はライフル持ちです。
しかもどっかのビルからもう1人、こっちに銃口向けてます。
だって撃たれたから!当たらなかったけど!!

「だから何も見てませんし知りませんし通報はしませんから!そんな手に持った明らかにアウトなライフルとか見てません!!」

「完全にバッチリ見てるじゃないか……!!観念して開けな!!」

「お断りします!!命の危険感じる!」

それはもうひしひしと。
事の発端は私……か?いやいや不可抗力。
新しく買ったカメラで写真を撮ろうと思って、人気の少ないビルを選び、その屋上へ登った。
今時屋上のドアに鍵かけないって不用心だなあって思いながらドアを開けたら先客の姿が。
ライフル持ってるとか明らかにカタギじゃないよね回れ右。
絶対あれだろ、暗殺的な何かだろ。
明日か早ければ今日この瞬間にでも速報ニュース流れてるんじゃないの!?
ニュース流れる前に警察来てください切実に!
ドアが閉まりきらない状態で膠着状態が続く。
なるべく隙間から見えないようにしつつ、全力でドアを閉めるために押す。
隙間から私の姿見えたら撃たれるでしょ……!

「見られたら始末するのが道理なんだよ!」

「ほらー!」

「それにピンポイントでここへ来たってことはFBI関係の可能性もあるからねえ!吐いたら1発でイかせてやるよ!」

「謂れのない疑惑が私を襲う……!!」

余裕に見えるだろうけどちょこっと焦ってます、ほら、人生経験はどんな人よりも豊富だからこういう場面に出くわしたこともあるから!
……言ってて虚しいわ。
でも真面目にどうしようか。
とりあえず下まで行って人混みに紛れれば大丈夫ってことでオッケー?
もう顔は見られたかもしれないけど、ドアに体重をかけつつ着ているパーカーのフードを被って、そして一呼吸。
失敗したらその時に考えよう。
お互いに押していたドアからフッと力を抜いて離れれば、勢いよくドアは私の方へ開き、向こう側から押していたお姉さんはバランスを崩してたたらを踏む。
その隙を逃がさず、持っているライフルを蹴って、お姉さんの手から離れたのを見てから踵を返し、なるべく全速力で階段を駆け下りた。
フード被ってたけど脱げた、仕方ない。

「待ちな!」

待てと言われて素直に待つやつがいるわけないでしょー!!なんて思いながら途中途中段をすっ飛ばし、手摺から下までショートカットしたりしながら一番下まで辿り着く。
カンカンとヒールの音が階段を下りてくる音を聞いて、一度立ち止まった。

「その左目の蝶が素敵なお姉さん!怖い顔してばっかじゃなくて笑った方が可愛いからね!!あと言葉遣い!直しなよ!!」

ってわけでさよなら!
ビルから外に出て、もう一度フードを被ってから人に紛れる。
あっぶないところだった……久々に命の危険を感じた。
あまり普段からしないことは控えるべきだろうか……でもせっかくだったから高いところからの写真を撮りたかっ……あれ?
……え、嘘でしょ?

「カメラ落としたあああああ!!おニューがー!」

しかし後日、何故かジンが私にそのカメラを渡してくれました。
いろいろ察したけど、私は何も見てませんし知りません……



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