「付き合ってもらっちゃっていいの?哀ちゃん。哀ちゃんだって向こうがよかったんじゃない?」

「あなた1人に買い物を任せるのは申し訳ないもの。向こうには江戸川くんもいるのだし」

「哀ちゃん優しいね」

「……別に」

ほんとだよ、と笑って哀ちゃんの手を引いて買い物カゴをカートに乗せて押す。
少年探偵団と約束したキャンプの打ち合わせをするために阿笠さんのお宅にお邪魔してたけど、夕飯までご一緒させていただくことになったのでせめて私が用意しようと買い出しに来ることになった。
ちびっ子たちは白熱してるし、最初は私ひとりで来ようと思ったけど、なんと哀ちゃんがついてきてくれたのだ。
ひとりだと荷物多いかなーなんて思ってたけど軽いやつだけでも哀ちゃんにお願いすれば大丈夫だろう、超助かる。
夕飯のリクエストは?と聞くと、なんでもいいわと返ってきた。
じゃあオムライスにでもしようか。
今日玉子安いみたいだし。
おひとり様2パックまで、と書かれている玉子を4パックカゴに突っ込む。

「綺羅さん、突然なんだけれど」

「うん?」

「綺羅さんも誰にも言えない秘密ってあるの?」

せっかくだからケチャップじゃなくてデミグラスソースにしようかな、とソースの缶詰めを手に取っていると哀ちゃんが繋いでいる手に力を入れて私を見上げた。
疑うような期待するような、そんな表情で。

「まあそうだねえ……たくさんあるよ」

「……」

「お風呂入った時どこから洗うとか、偶然見ちゃった両親の預金額とか」

「……そうじゃなくって」

「言ったところで信じてくれないような秘密とか」

カゴにデミグラスソースの缶詰めを2つ入れて哀ちゃんに視線を向ける。
……私どんな顔してるかな、怖い顔してないかな。
私はここにいた私≠フ代わりにここにいて、私はいろんな人生を歩んでいて、歩んできて、たくさん生きてたくさん死んで。
そんな他の人からしたら夢物語に等しい現実。
哀ちゃんが驚いた表情に変わるのを見てにっこりと笑顔を浮かべる。

「誰にでもひとつやふたつ、軽くても重くても秘密はあるんじゃない?」

「そうね……」

「あ、でもねえ……私、今の生活は凄く好きなんだよ?」

みんなに知られると小っ恥ずかしいから、これは内緒にしてね。
そう笑ったまま唇の前で人差し指を立てると、哀ちゃんはきょとんとした。



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