兄さんが死んだ、なんてうっそだー絶対どっかで生きてるわーと感じるような報せをもらってしばらく経った。
母さんと秀吉兄さん、真純を慰め、私は私で米花町を歩き回る。
変な確信が私にはある、それは数え切れないほど世界と世界を飛んでいるが故の勘からなのか、妹としてなのかはわからないけれど、秀一兄さんは生きている。
自分で亡骸を見るまでは信じるものか。
自分で触って感じるまで信じるものか。
FBIだし絶対厄介事だろうけど知るか、母さんと秀吉兄さんと真純を泣かせたんだからはっきりさせてやる。
「って言っても手がかりないしなあ」
米花町付近にいるんじゃないかって歩き回ってるけど、それっぽい人影は見かけない。
喫茶店のテラス席でアイスティーを啜りながらケーキをフォークで一口大にする。
そんなに長い間私≠ェ一緒にいたわけじゃない、私なんかもっと短い。
でも兄妹なのだから手がかりを見つけられる自信はある、マジで。
見つけたら何しようかな、とりあえず本人だったら1発殴るか、兄さんの関係者だったら洗いざらい吐いてもらうか。
好きなチョコケーキの最後の一口を口へ運ぼうとした時、思わず手がとまった。
目が合ったんだ。
よく見知った人と、探している人と。
その人は確かに私と目が合ったけど、そのまま歩いて人混みに消えた。
──兄さんだった。
急いでケーキの一口を食べ、席を立って会計を終わらせる。
行った方角はわかる、帽子も被ってた、服も覚えた。
顔にケロイドが合ったけど、火事か何かに巻き込まれたのだろうか。
人混みの合間を縫うように走り、よく知ってる後ろ姿を追いかける。
「待ってってば……!」
無視か泣くぞ!
絶対あれ声聞こえてるだろ!
肩揺れたの見たからな!!
あれで撒こうとしてたら笑ってやる、兄さんがFBIでも私の無駄に積み重ねてきた技術の方が上なの見せてやる。
ちょっと本気出す、なんて意気込んでスピードを上げた。
周りの人は突き飛ばしたりなんかしないで、すみませんすみませんと謝りながら距離を詰めていく。
私の方が速かった。
「待てっつってんだろ馬鹿兄!!」
「!」
おっと言葉が荒れちゃったー。
早足だった兄さんの腕を掴めば、驚いたようにこちらを振り返る。
……あれ?
間違いなく兄さんのはずなんだけど、なんか、違和感?
「……兄さんじゃない?」
思わず首を傾げた時に手が緩んだのか、兄さんだと思ってたその人は軽く私の手を振りほどくと再び人混みに消えた。
……兄さんだけど兄さんじゃなかった?
なんか混乱してきたんだけど……?
道の真ん中でぼーっとしていたけれど、後ろからサラリーマンに突き飛ばされるのは数秒後である。
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