ぱちくりと瞬きをする。
同志たちが亡骸を燃やしていた場所へ錫杖を向けているのに、私はただ何度も瞬きをして自分の両手を見つめる。
ちょっと騒がしいなとか、何をそんなに慌ててるんだろうなとか、きっと私≠ノしては脳天気なことを考えていた。
──どうしてこう、なかなか物騒な世界に私たちはいるのだろう。
まあとりあえず顔を上げて、こちらを見下ろす冷たい目とぱちりと合わせる。

「はじめまして、虚様」

「ええ、はじめまして綺羅」

いろいろと含めてしまいました。
この時は知らなかったから。
松陽と名乗っていたこの人とは別人格だなんて。
ただほら、私別人格みたいなもんじゃん?
いや記憶も感情も共有してはいるけれどややこしいか。
とりあえず、私はこの人に会うのは初めてみたいなもんだ。
ってことで後でいろいろぼかしながらだけど説明するので怖い顔で睨まないでください朧。














あうあう言ってた赤ん坊の私は虚様に拾われてから天照院奈落にいるんだってー、すっげ朧より古株かよ。
この世界での極東綺羅≠ニしての私の記憶を辿り、ちょっと納得した。
馴れ馴れしく虚様と話してても朧は怖い顔するだけだったし、朧とも馴れ馴れしく話しても他の同志たちは特に無反応だし。
私って以外と上層部に当たるみたいねー。
直前の世界だって戦争を頻繁にしてる世界だったから、いつだったか遠い昔よりギャップは少ない方だ。
ただ、その世界は180度砂漠だったし魔法とか魔道士とか、少なくてもあるような世界だったけど。
神秘に満ちていたなあ、小さな光る鳥がピィピィ鳴いてた。

「綺羅」

「はーい」

「伸ばすな」

「はい」

「……虚様は」

「はい」

「……虚様じゃなかった」

落胆したような、複雑そうな、そんな顔をして朧は俯く。
確かに、少し話をしたけれどあの虚様は吉田松陽と名乗った虚様じゃなかった。

「そっか」

「貴様は、あまり驚かないのか」

「言葉の端々で察してたし、白夜叉に首落とされて生き返ったんだから何かしら裏があるんじゃないかなとは」

天導衆に連れてかれたあの人が今どんな状況か知らないけれど。
この世界でも不死なんてでたらめな現象があるのかな。

「吉田松陽と名乗っていた虚様に尽くすのか、それとも戻ってきた虚様に尽くすのか、それは朧が決めればいいんじゃない」

「綺羅は」

「私?尽くすなんてことはできないからここにいる」

そんな一途なこと、私なんかができるわけないじゃない。
まあ私≠ネらできるかもしれないけどさ。
私の言葉に朧はそうか、と呟けて俯いた。



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