朧の足下にしゃがみ、そこからさらに下を見る。
獄中での暗殺。
下手人は……高杉晋助。
まあわかる、松陽のこと忘れやがった時点で私も命じられても助けようとは思わないし、むしろ高杉よくやったって拍手喝采だわ。
口には出さないでぱちぱちと小さく拍手したら朧に蹴られた。
「落ちる」
「落ちろ」
ズレた編み笠を直し、しゃがんだまま朧の脛にグーパンをしたら今度は頭を叩かれてまた編み笠がズレる。
骸、今は今井信女か、彼女がいなくてよかったかも、ただでさえ緊張感のない私がいるだけで緊張感なくなるし。
朧が背を向けたのを見て、私も立ち上がった。
「つーか朧、傷はいいの?」
「ああ。経絡で少しは癒えた」
「朧が出なくても、あのクソジジイじゃなきゃ私がやるのに」
ボソッと朧について行きながら呟くと、朧は足を止めてこちらに振り向く。
あ、ちょっと驚いてる。
滅多にそんなこと言わないからだろうか。
だって気になるもん。
松陽の弟子たち。
馬鹿親父が私を置いてって、どんなやつらに何を教えたのか。
それは私だけじゃなくて朧も同じだと思うんだけどな。
足を止めたままの朧を通り越して屋根から屋根へ飛び移った。
「松陽や虚様に関係することだったらお手伝いしてあげるよ?」
弟子たちを始末しろと言うのなら始末するし、放っておけって言うのならそうするし。
私情しかないの、わかってるんだろうけれど、それでもよければ。
暗殺者らしからぬやり方になるけれど、それでもよければ。
動かない朧に振り向いてなるべくにっこりと馬鹿親父譲りの笑顔を浮かべれば、朧は目を見張る。
少しの間を置いて、朧は首を横に振った。
「あ、そう?あんまりこんなにやる気になることないのに」
「……その矛先が俺にも向けられることになるのはわかってるからな」
「弟分にそんなことしないよ」
多分ね。
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