「ほら戻りますよ……!あなたまだケガ人なんですから……!!」

「園子に会いに行くのにケガ人も何人も関係ないぃぃぃぃ!」

「抜糸遅れますよ!まだ安静でしょう!!」

「やだああああああああ」

「ちょ、どこからそんな力出るんですか……!?」

なんでこいつと出会したんだろう。
病院抜けるのはチョロかった、売店で園子のお土産買えるんじゃね?ってくらいチョロかった。
回診も終わってたし、夕方までに戻ればいっかなって思って寝間着から普段着に着替えてコソコソ抜け出して、知り合いの少なさそうな道通ろうって思った直後、安室さんに見つかってしまったちくしょう。
蘭ちゃんとかコナンくんから聞いていたのか、どうやら私のお見舞いに行く途中だったらしい。
病院に行こうとしてた安室さん、園子の家に行こうとしてた私。
まあ正しいのは安室さんの行動ですよね!!知ってる!
安室さんが走ろうとした私の手首を掴んでやめなさい、とか、戻りますよ、とか言って病院の方向に歩き出そうとしたから全力で逆らった。
私は!園子に!会いたいんだって!!
ギリギリと引っ張り合いをしてどのくらい経ったかな、諦めてくんないかな。

「夕方までに戻るから手ェ放してください!」

「だめです!刺されて2日間意識不明だったらしいじゃないですか、まだそれから2日しか経ってませんよね?抜糸もまだまだ先ですよね!?」

「誰だ事細かに説明した野郎は!」

「女性がそんな荒っぽい言い方しない!」

だって退院待ち切れなかったんだもんんんんんん!
というか安室さんも力強くね?え?細身だけど隠れゴリラかなんかですか?
私だって人のこと言えないけどな!
生まれつきゴリラみたいなもんだからな!ウホウホ!!
なんて余裕ぶっこいている暇なんてなかった。

「あなたのその傷悪化したら園子さん、もっと悲しみますよ!」

「そこで園子出すのはずるい!」

「大切なんでしょう!?傷つけちゃだめじゃないですか!!」

「わかってるよ!」

わかってる。

「私が……私≠ェ大切にしてるんだからわかってるんだよ!!」

極東綺羅が、この世界の極東綺羅≠ェ大切にしているんだもん。
身体を守れたからって心を傷つけたままにしていいわけがない。
だから、ちゃんと話さなきゃ。

「綺羅さん……」

「漢字変換ミスだったんだよおおおおおお!!」

「……は?」

そう、あれは漢字変換ミスだ!!
何回でも言う、大切なことだから。
漢字変換ミス!!
この後、病院出る前に飲んでいた痛み止めの効果が切れて蹲ってしまい、安室さんによって病院に連れ戻された。
よりによって安室さんかよ……ごめんよ園子……綺羅姉が退院するのはもうちょい先です。


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