「コナンくんって本当にただの小学生なの?」
そう聞くと、コナンくんは強ばった笑顔を浮かべて「な、何言ってるの綺羅さん……」と答えた。
……おや、もしかしてもしかするかな?
ちょっと期待を込めて、梓さんが持ってきてくれたアイスティーのストローに口をつける。
だって、コナンくんっていつも毛利さんを眠らせて声を変えて代わりに推理するじゃない。
毛利さんに言われてやれって〜ってこともほとんどコナンくんの独断行動だったような気もするし。
私≠ェ記憶しているのはキッドキラーとしてのコナンくんについてがほとんどだけど、それとは別に印象的なのは何か事件が起きた時のコナンくんだ。
それに我が可愛い従妹の園子にだって似たようなことしてたよね。
どうやって眠らされていたのかは知らないけれど。
そう考えると……あとはあの子もただの小学生じゃないよね。
灰原哀ちゃん。
あの子も知識の幅が広いしマニアックというか、それにめっちゃ大人びてる。
「変なこと言うんだね、綺羅さん。僕、どう見ても小学生だよ!」
「見た目はねー。でも中身が大人っぽいよね」
「そ、そう?」
「そう」
きっとガチでやばい顔してたんだろうな私。
コナンくんがめっちゃビビってます、ごめんね!!
お詫びにまだ口をつけていなかったケーキをコナンくんの前に動かす。
いいよ、と促せば恐る恐るフォークを持った。
そんなにビクビクしなくても怖くないってば。
「なんで綺羅さん、そんなこと聞いたの?」
「んー……そうだなぁ……」
半分くらい減ったアイスティーにガムシロをひとつ入れ、やけに甘いそれを飲み干す。
うーん……単純に願望があったのだろう。
私と同じような、似たような人がいるんじゃないかって。
どんな過程でもいい、どんな理由でもいい。
いいから、誰かに成り代わったり生まれ変わったりして、人生2回以上って人を探して、話をしたかった。
自分を、ひとりじゃないんだと思いたいから。
「私と同じなんじゃないかなって、同じじゃなくても似てるんじゃないかなって、思っただけだよ」
違ったらごめんね。
大きな目を見開いたコナンくんに笑いかけ、伝票片手に立ち上がる。
ゆっくりしてってねと声をかけ、会計を済ませて外へ出た。
何か大きな隠し事をしてるのだろうけど、私だって大きな隠し事をしてるからなあ。
ふう、と一息吐いて家の方向へ足を向ける。
その時だった。
「綺羅さん!!」
コナンくんがポアロから出てきて私に駆け寄る。
あ、口元にクリームついてる……そんな慌てなくても。
少し息の上がってるコナンくんと視線を合わせるようにしゃがむと、コナンくんは目をキッと吊り上げて私を見た。
「話なら、いつでも聞くからね!」
「へ?」
「あんな思い詰めたような顔してる人、ほっとけるかよ!」
……そっかあ、笑ってたつもりなんだけどなあ。
名探偵にはバレバレかあ。
「……うん、じゃあまた今度、お話しようね」
「僕はいつでも待ってるから!」
うん、ありがとうねコナンくん。
ちょっと嬉しいなあ。
表情が緩む。
今度は、ちゃんと笑えてただろうか。
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