「万事屋銀ちゃん……」

「そ。まあなんでも屋だな」

「ああ、パシリ」

「お嬢さん言葉の端々に悪意感じるんですけど!?」

名刺渡されたからと言って不審者の印象がすぐなくなるわけではない。
坂田銀時、と名刺に書かれてる名前を見てから本人を改めて見上げる。
名は体を表すというか、ふわふわした銀髪だし、覚えやすい。

「お嬢さんは?」

「神崎晃」

「……そっか、晃ってーのか」

団子がもちもちして美味しい。
坂田さんは目を細めると私の頭に手を翳して、それから何もせずに引っ込めた。
……その表情はつい最近、どこかで見たような気がする。

「江戸に住んでんの?」

「ううん、今は保護者とあちこち回ってる」

さすがに鬼兵隊に身を置いてます、なんてことは言えないから濁しておこう。
あながち間違ってはいない、社会勉強といえばある意味社会勉強であるし、あの人が保護者といえば保護者である。
あの人を保護者とか言いたくないけど、稽古の時に顔面殴る保護者は嫌だ、虐待か。
控えめに唇の端に貼ってある絆創膏を指されたのでぶつかったから、と誤魔化した。

「……でかくなったなァ」

「え?」

「あーいや、独り言。いつまで江戸にいる?」

「わかんない、保護者の都合で動いてるから」

「じゃあ今日明日で離れるわけじゃねェな?」

ひとりでよしと頷く坂田さんに内心首を傾げながら団子の最後のひとつを頬張る。
そんな私を見下ろす坂田さんはあの人とはまた違う目で。
あの人は苦しそうに目を細めるけれど、この人は眩しそうに目を細めるんだね。
嫌、ではないかな。

「江戸にいるうちにまた会おうぜ。ここにはちょくちょく来るから」

「……仕事は?」

「…………いやほらな?依頼ないと暇じゃん?」

……うーん、この人ダメなおっさんだわー。


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