「お前さんは甘いモンが好きだなァ」

船の縁に腰掛け、街で買った包みを片手に団子を頬張っていると高杉さんがやってきた。
煙管片手に私を見ると目を細める。
包みから1本団子を取り出し、高杉さんに差し出すと首を横に振られた。
なんだ、いらないのか。
背中の傷も大分よくなり、稽古もまたするようになった、けど、前よりなんか優しいというか……なんというか、ボコられるだけじゃなくなったというか。
差し出した団子をそのまま自分で咥え、んぐんぐと咀嚼する。
ちょっと欲張り過ぎた、ちょっと苦しいわこれ。
でも田舎じゃあまり食べてなかったからなー、その分の暴飲暴食ってわけじゃないけど……ばあちゃんには「デブるわよ」なんて言われたけれど……ここへ来てからはむしろ腹割れたし……たくさん食べても大丈夫だろうな。

「あまり食いすぎるなよ。夜はそれなりにいいところに連れてってやる」

「……珍しい」

「あ?」

「いつもそういうこと、言わないから」

「……メシ食いに行くだけじゃねェよ」

ですよねえ。
どうせ何かの取引とか怪しいお話とかでしょうねー。
えー、また真選組来たりして怪我するのやだよ。
私の考えていることはお見通しなのか、高杉さんは鼻で笑うと私の髪をぐしゃぐしゃに乱した。

「安心しな、今回はそんなこたァねェからよ」

「ん」

なんだか最近、高杉さんに絆されてきたような……
船内へ歩き出す高杉さんの背中を見ながら包みに手を伸ばす。
あと1本くらいなら大丈夫大丈夫、まだ若いし体重増えてもすぐ減る減る。
夜はきっといつもより美味しいご飯だろう。
ここのご飯も美味しいけど、もっと美味しいんだろう。
だって高杉さんチョイスだし。
来島さんたちも行くのかな?
ちょっと会って聞いてみよう、と縁から下りた時だった。



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