目を開けると目の前に見知らぬイケメンがいた。
あ、嘘ですイケメンな恋人です。
昨日の夜、2人して浴びるほど飲んだんだっけ。
居酒屋とかバーより宅飲みの方が遠慮なく飲めるよね!!って力説して大量にお酒を買い込む私を「うわあ」とドン引きしてたの覚えてるんだからな。
むくっと体を起こすと、昨夜の惨状がよーくわかった。
結局布団敷かないで床で寝ちゃったらしい、だから体痛いのか。
ふと横になってる恋人を見下ろす。
……ふむ。

「ふがっ」

「あ、やっぱり」

「バレました?」

「バレました。おはよう透くん」

「おはよう遥さん」

鼻を摘んでもイケメンは変わらないのか羨ましい。
透くん、寝息じゃなかったよね。
私の言葉に透くんは苦笑いして体を起こし、さっきの私のように部屋を見てあちゃーと零す。
ローテーブルにはコンビニで買った酒の空き缶や、開けっ放しのつまみの数々。
それに私は喫煙者だから灰皿にこんもりと吸殻が残ってるし、換気扇を一晩回しっぱなしにしてたとはいえ煙草臭い、アカン。
極めつけは2人揃って着の身着のまま寝落ちしてたってところ。
これがアラサー女子がひとり暮らししてる部屋とか笑えるよね。

「お風呂入ってきなよ。私片付けてるから」

「そうさせてもらおうかな……遥さんは今日お休みですもんね」

「透くんは?ポアロ何時から?」

「あ、先に探偵業で依頼人と打ち合わせがあるんです」

尚更風呂直行の方がいいのでは……?
きっとその服のままじゃ煙草臭いよ……念のために置いてる服一式出しとくよ……?
ってことで広くもない風呂場に透くんを追いやって、脱衣場に彼の服を置いておいた。
たまに泊まりに来るし、いっそのこと服一式置いとけば?っていう私の提案に乗ってくれたから必要最低限の用意はある。
着替えた後のやつはまたこっちで選択して置いておけばいいし。
片付けは簡単に、空き缶を台所に引き上げて、散乱してたつまみは封をして棚に。
匂いを追い出すために窓を開けて、灰皿は中身を捨てておく。
透くんがお風呂に入ってる音を聞きながらヤカンを火にかけ、私は朝の1本を咥えて火をつけた。
透くんを送り出したら風呂入ってから寝よう。

「お風呂ありがとうございます」

「いいえー。朝ご飯食べる時間ありそう?」

「ちょっとギリギリですね」

「じゃあはい、これ」

私の朝ご飯にしようと思っていたやつ、コンビニで買ったサンドイッチと缶コーヒーをビニール袋に入れる。
髪が濡れたままの透くんがきょとんとしてるけど、早く乾かさなくていいの?
あ、そういえばドライヤーをこっちに持ってきてたな。
半分くらいまで吸った煙草を灰皿に押し付け、ビニール袋を持ったまま透くんの手を引いてソファーに向かった。
はい座って、と透くんを座らせてローテーブルにビニール袋を置き、床に転がっているドライヤーを手に取る。

「……人にしてもらうと気持ちいいです」

「そう?じゃあ今度は透くんに髪乾かしてもらお」

猫っ毛可愛い。
あと透くんから甘いシャンプーの匂いするんだけど大丈夫?……今更だったわ。
透くん、イケメンだし可愛いから甘い匂いしても不思議じゃないからいいでしょ。
いやー恋人がイケメンで可愛いって素敵だよねー。
なんて透くんがうとうとしてるのに気づかないまま、ヤカンが音を立てるまでその柔らかい髪の毛を撫でていた。


戻る

ALICE+