「解せぬ」
なんで私がこんな禁術の書庫整理に付き合わされなきゃならないんだ。
まあ、口寄せのとある禁術の書物を読んでいいって言われたから乗っちゃったんだけど。
そんな見張りのようにしなくてもいいんだよ、奈良の子。
パラパラと書物を捲ってとあるページで止まる。
異世界からの口寄せ。
名字という一族が必ず口寄せできること。
尚、その一族は全員が赤い髪と目であること。
秀でていること。
私でも知ってるような内容。
秀でている、って何を基準にしてるんだか。
でも私だけが知ってることも含めると、やっぱりもう異世界から口寄せされることはないだろう。
私の姪や甥に当たる子がいても、髪と目の色は絶対に赤にならない。
名字の血が入っていても、赤い髪と目の子は生まれないから。
向こうで名字という家系が続いても、こちらでは続くことはないだろう、恐らく。
私で、名字はおしまい。
「欲しかった情報は見つかったんスか?」
「元々知ってることだったし、ちょっと残ってた希望がなくなったくらいで特には」
先代の──おじいちゃんの意向によりか、この口寄せの術式は父さんと私が口寄せされてから三代目火影の手で封印されたらしい。
なんだ、次から来るやつを中心に木ノ葉で名字を再建するつもりだったのか?
それならわざわざ呼ばなくて済むもんな。
……こういう考え方しかできない自分がやだ。
それからは淡々と分類分けして整理を終えた。
「こんなんでいいの?」
奈良の子に聞けば、気怠そうに返事をする。
さてと、それなら家に戻るかな。
申し訳程度に持ってきた財布しか入ってない小さな鞄を肩にかけ、部屋の外に出た。
「これ、火影様から」
そう、奈良の子に引き止められなければ。
彼の手にあるのは封筒。
少し厚いし何より封筒に書いてある単語が気になる。
給与
……ああなるほど、おにいさんが呼んだ理由とか諸々わかった。
なかなか就職しない私に呆れたのかも。
まず就活してない、つーかできる仕事ない。
「いらないよ。必要ないから」
「アンタ、まだ働き口ないんだろ?カカシ先生がないならここの書庫整理を任せたいって」
「だから、その気がなくても元暁にやらせる意味がわからない」
「その気があるならオレが捕らえる」
「めんどくせぇぇぇぇ」
「……それが本心だろ」
もう忍をやるのも嫌、働き口探すのも嫌。
まだまだ心の整理はつかないまま。
警戒されて警戒して。
死にたいと思わないだけマシだとは思う。
特別生きたいとも思わないけど。
でも、やっぱり生きている以上は、って。
「…………」
「……まあ、とりあえず受け取れよ」
「そうするよ」
短期アルバイトってことで。
その封筒を受け取ると、ついでにと求人誌を渡された。
あとはメモ帳。
どうやら奈良の鹿の世話とか、山中の花屋の従業員とか、武具屋とか、彼の仲間たちの家の仕事で人手を募集してるらしい。
いや、面倒なんでいらんわ。
20150208
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