「いっそのこと忍として復帰したらどうだ」
「だったらもう一度木ノ葉くずもがもが」
「すみません五代目、こいつ絶対忍に戻らないみたいなので」
物騒なこと言わないの。
カカシおにいさんに後ろから口を塞がれた。
先代の綱手姫に居酒屋に呼ばれたと思ったらこれ。
働き口がなかなか見つからなくて困ってたら呼ばれたけど、さすがにねえ。
べしべしとおにいさんの手を叩くと、溜め息と共に手が離れる。
「中忍試験は合格したのだったな」
「……まあ」
中忍試験てあれだ、3人で受けたやつ。
私の場合はアカデミー卒業しても名字ってことでスリーマンセルにならなかったから、上忍が変化して無理矢理作ったんだった。
今やったら神経すり減る。
ベストはもらったけど、着ないで終わったんだ。
酒を煽る綱手姫とは対照的に、付き人の忍はお茶にも手をつけないで私を真っ直ぐ見ている。
その、疑るような監視するような目が気に入らない。
「木ノ葉の忍として里のために生きればお前の立場も変わるだろう」
「断る」
「……なに?」
「断る、って言ったんだ。悪いけど里のために生きるなんて真っ平ごめんだね、だったら私を投獄してくれよ」
「名前っ!」
「ここに来た時から木ノ葉に心どころか気すら許してない、むしろ最初から敵視してんだから」
「……そうか。それは、名字としてでもあるんだろうな」
冷静に、熱くならないで綱手姫だけを睨んで正直に言えばカカシおにいさんが私を諌めるように声を荒らげる。
付き人も顔つきが険しくなってきた。
そりゃそうか、一応監視対象になるくらいのことをしてきた私だもんね。
「私はこれでもお前の力を買ってるんだ。幼少から忍としての教育を受けてる名字は歴代でお前だけだったから、桁違いに強くなっている」
「…………」
「間違いなく最強の名字だよ」
……だから?
だから何?
そんなの知るか。
好きで強くなったんじゃない。
なるしかなかった、生き抜くために。
「少しは前向きに考えてほしい。ここで生きる以上、その場所を嫌いなままではいたくないだろう」
「…………頭の片隅に置いとく程度なら」
「そうか……そういやもう酒は飲める年だったな?奢りだ、飲め!」
「遠慮する」
どうやら話は終わりのようだ。
徳利を突き出す綱手姫に断りを入れてから、カカシおにいさんに視線を向ける。
ほっとしたような表情。
そんな心配しなくても、さすがにこんなところで殺し合いは始めないよ。
綱手姫の酌を断って、家に戻ろうと席を立つ時におにいさんに捕まって座らせられて。
付き人は綱手姫に無理矢理飲まされていて。
…………あんなに真面目な話してたのにどうしてこうなった。
20150212
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