後悔するなよと言ったけど、今すぐ忍として働こうとは思ってない。
ベストも一度サクラに返した。
で、現在の私は火影の執務室にて資料整理。

「出鼻を挫くとはまさにこのことだね」

「いきなり木ノ葉の忍になってもバッシングが酷いかと。私なりの配慮」

それに、やってきたことは消えないし、私が思ってることも根本的に変わらない。
暁だったし、戦争引き起こしたし、木ノ葉の里嫌いだし、帰れればいいなって思うし。
でも、嫌いに、なったままでいたくないから。
少しだけ、少しだけでいいから知ろうって。
知って、それからまた考えればいい。

「どういう風の吹き回し?」

「こういう風の吹き回し」

「無理しない程度にね」

「もちろん」

「何かあったらオレを頼りなさいよ」

「…………」

「なんで黙るの」

処分すると思われる書類を紐で縛って机の上に置く。
恨めしそうなおにいさんをスルーして持ってきた鞄を肩にかけた。
さてと、帰ろうかな。
おにいさんが泊まりに来るとか言ってたから、早目に帰って施錠しないと。
なんて思ってると「無理矢理入るよ」と脅された。
適当に返事をして、私が作ることになる夕飯のメニューを考える。
どこの店が安いとか、品がいいとか、父さんと歩いて覚えた道だとか、いろいろ思い出せてきた。

「また後でね」

「ん」

軽く手を上げたおにいさんに手を振って執務室から出る。
外に出ても相変わらず、視線は感じるけど。
少しは殺気混じりじゃなくなったかな。
どっちかっていうと、生暖かい目というかなんというか。
子供を見てるような視線な気がするんだけど。
そんなに子供っぽいか、もうとっくに大人なんですけど。
いつだったか、あの猫目の隊長に寝てる時と起きてる時は別人だねって言われた。
いやそりゃ誰でもそうでしょうよ。
寝てる時まで神経使いたくないっての。

「…………人って、考え方変わるんだな」

遅かったのか早かったのかはわからない。
木ノ葉が心底憎いって思ったのも、少しずつそれがなくなっていくのも、確かに私の本心ではある。
それは事実だし、偽りたくないし。
でも、でもいつかは。
ここにいてよかったと思えて、ここに暮らす人々と分かり合える日くらい来るのかな。



20150218
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