阿鳥遥斗


「じゃあ俺たち、付き合ってみません?」

俺の突然の告白に相手は目を丸くしている。驚くだけならまだマシだろう。俺が先輩の状況になったら全力で逃げる自信がある。

告白相手は阿鳥遥斗という俺の先輩だ。ルックスやスペックもいい完璧人間。真面目なのも俺にとっては高ポイントだ。

この半年間、気持ちを押し殺して過ごしてきたわけだが、どうやら限界だったようで今爆発した。だって先輩が恋愛相談なんて持ち掛けるからですよ。確かに俺は女の子との付き合いは上手い方で、長ーく深ーくのタイプだ。でも! 俺、あんたのこと好きなんだけど。

「え、っと…それは…恋愛の方、だよね?」

やっと理解が追いついたらしい先輩は中学生でも、いや小学生でも分かることを聞いてきた。この期に及んで、いいえ、買い物です! なんて言ったら殺されるわ馬鹿やろー。

ここまで来たら落とす。

「当たり前じゃないですかー先輩。
まず、女の人だからつまらないと思われるのでは? 俺は先輩と話してて楽しいですよ?」

先輩はまた困り顔。ええいままよ。

「じゃあ先輩、彼女とヤッたのいつですか?」
「馬鹿声が大きい!」

俺のいきなりの質問に先輩は動揺して俺の口を塞ぐ。顔真っ赤っか。そういうとこなんですよ先輩。
それに先輩の声の方がでかかったですけどね。

「んで、いつですか」
「…………半年?……いや、一年?」
「一年?! とっかえひっかえのくせに?」
「それは言わない約束だろ?」

すみません、と手前だけの謝罪をしておく。へーぇ。賭けだったけどこれは思ったより使えそうだ。先輩奥手なのか。

「男だったら関係なしに出来ますよ。先輩そんな顔して溜まってそうじゃないですかー。んね?」

「ね、じゃないよ…。#name#にはデリカシーってものがないの?」

「女の子の前では完璧です」
「こんな奴が長持ちするのか……」

俺の前で唸る先輩を見て思う。 あれ、これ行けそうじゃね? もう一押しでゴールインぽくね?
おちゃらけているが、これでも先輩を好きな気持ちに嘘など全くない。それを、ストレートに伝えよう。後先など今はどうでもいい。

「先輩、男で気持ち悪いと思うのは十分承知してます。その上で、言わせてください。
好きなんです。こんなふざけてますけど恋しちゃってるんです。…ちゃんと、一途に思ってます」

「……ドッキリとかじゃない、よね?」

「まだ疑いますか? ありえません。
なんなら一ヶ月だけでもいいです。それで綺麗さっぱり諦めます」

我ながら最低の告白だ。それでも、先輩を振り向かせるためならなんでもやる。もう俺は、戻れない所まで来てるんだ。

「……いいよ」
「ですよね、……うそん」

「お試しとか俺も良くないってことは分かってるけど、なんせ…男同士なんて初めてだし…。可愛い後輩である#name#の気持ちもあるわけだし」

いざOKを貰うとどうすればいいか分からなくなるものだ。特に今回は。


「ありがとうございます! よろしくお願いします。えーっと、遥斗さん?」

「あ、…うん。よろしく、#name#」

お互い若干顔が赤い。俺たちはここから、この不安定でいつ壊れるか分からない関係から始めるんだ___。








結局俺が遥斗さんを組み敷いちゃって、やることヤッちゃったんだけど。

でもそのおかげなのか、俺が本気だって分かったみたい。
今でも、ちゃーんと続いてるよ。


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