フロイド

なぜだか分からないけれど、わたしはフロイド先輩と気が合う。”テンポ”が合う、という方が正しい感覚かもしれない。

フロイド先輩は大変気分屋で、相手を振り回すことが得意だ。双子の片割れであるジェイド先輩ならば、そんな彼の振る舞いのいなし方もお手の物だが、大体の人間はフロイド先輩の身勝手さに辟易してしまう。

気まぐれに相手をからかい、執着し、飽きたら離れていく。彼をまともに相手しようとすればするほど、疲れてしまうだろう。

しかし、わたしはそんなフロイド先輩が嫌いではなかった。もとの世界にいたときも一匹狼だったわたしだ。人が近づいたり、離れたりしたところで、なんとも思わない。
すると、そんなわたしを物珍しく思ったのか、フロイド先輩は積極的にわたしを構ってくるようになった。自分を邪険にしないが、興味も持っていないわたしは、奇異な人物として彼の目に映ったに違いない。

「小エビちゃん、授業サボろう〜!」と言われれば一緒にサボった。「小エビちゃん、一緒にご飯食べよう〜」と言われれば一緒に大食堂に行った。「小エビちゃん、一緒に泳ごう〜」と言われれば足だけ水につけてバシャバシャと水遊びをした。

一度遊びだすと、フロイド先輩は随分と長いことわたしを解放しなかった。同じクラスのエースやデュースから連絡が入り、遊びを抜けようとすると、ものすごい力で引き留められる。あの大きな体がだらりとわたしに覆いかぶさり、「勝手にオレから離れるとかダメ〜、本気で怒っちゃうよ?」と笑いながら軽く首筋に噛まれる。(あのギザギザの歯は痛いというよりくすぐったい)

「監督生、お前ってフロイド先輩と付き合ってんの?」
ある日エースにそう言われた。全然違うのでもちろん否定する。ただの友達ってやつだ。
「じゃあ、2人は本当に仲がいいんだな。リーチ先輩があれだけ気に入る人間って、きっと監督生だけだと思うぞ」
デュースはひどく納得した顔でそう言ったけど、エースの方は「ふぅん、そんなもんかねぇ…」と訝しげな表情だった。

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「小エビちゃぁん、なーに見てんの?」
校舎から少し離れた庭園の芝生の上で