やることが多すぎる。

 ばたん、と背中から倒れて、ぼんやりと天井を眺めた。畳のにおいが心地がいい。ここ最近、いや審神者となって以来、机にかじりついてばかりな気がする。これは今までデスクワークを蔑ろにしていたツケなのかもしれない。
 過去の自分へ涙を噛みしめていると、廊下のほうからパタパタと足音がひとつ。

「主さん?」

 陽射しを遮り、誰かが立っている。しかし悲しいことに逆行のせいで、顔がよく見えない。ううん、この声は、そんな思案顔が奇妙に映ったのだろう、その誰かは「堀川です」と苦笑した。
 障子を閉めてくれたおかげで、ようやく彼の可愛らしい顔が拝める。そばへやってきて正座をする堀川くんに「どうしたの?」と、私は体を起こす。

「なにか手伝えること、あるかなあ、と思ってきたんですけど……」

 私が途中放棄した机上を見て、彼はまた笑った。頼りない主で申し訳ない。

「やること、たくさんありそうですね」
「助かります」