晴れ間をいのれ

 雪の降り積もる森の合間でぱちり、とひとつ薪がはぜる。北海道の冬がこんなにも寒いとは思わなかった。はっと短く息を吐いて焚き火に照らされた手元を美夜子は見下ろす。

 橙に燃え上がる火の側に腰を据えて手にしたものをじっくりと見つめると、綺麗に折り畳まれたそれには滑らかでいて、見たことのない模様が彫られているということに気付く。丸と線の集まりにはまるで見覚えもない。
 奇妙な布……いや、手触りからいってこれはきっと何かの皮だ。
 広げたそれをくるくると元の形に畳み直しながら美夜子は己の背後、火に照らされて影となった地面を見やる。

 そこには、事切れた男の死体がひとつ。身包みを剥がれ寒々と転がっていた。
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