こんのすけという生き物
さて、歴史を守るという事になったのは良いが、何をすればいいかいまいち分からない。ひとまず歌仙と一緒にこの大きなお屋敷を見て回ろうということになったので、一つ一つ襖を開けていく。
「審神者様で御座いますね!」
「え?…うわっキツネだ!」
「初めまして審神者様!わたくしクダギツネのこんのすけと申します!」
廊下を曲がった瞬間、小さな生き物が目の前に降り立った。クダギツネとは。見るからにキツネであるが、私の知ってるキツネは人の言葉を話さないし…。て言うかフォルムが、何と言うかキツネはスマートなイメージだったのだけれど、目の前の生き物は丸っこいフォルムをしている。あと目がきゅるんきゅるんだ。可愛い。アニメキャラクターのマスコット的なそれに見える。
「えっと、はじめまして…さにわ?です。みょうじなまえです。」
「審神者様…っ!?」
「主、きみ、」
「…?」
流れるように自己紹介をすると、目の前の一人と一匹が慌てふためいた様子で私を見た。何だろうかと首を傾げたが、そう言えば歌仙に自己紹介をしていなかったことに気づいた。やべ、神様に名乗るの忘れるとか罰当たりなのでは?ごめん、名乗ってなかったよね、なんて軽く謝るが、歌仙は難しい顔で首を横に振った。
「君、僕に名乗る事がどういう事か分かっているのかい?」
「?」
「先程僕は神とはいえ末席だから、とは言ったけれどね。……神ではあるのさ。」
「はぁ、」
話の意図が掴めない私は曖昧な返事をするしかなく。神様なのはさっきから聞いてるから分かるんだけれど、歌仙は何を言いたいんだろう。
「神隠しってわかるかい。」
「漫画とかの知識でなら…?あの、神様がお気に入りの人間を自分のところに閉じ込めちゃうみたいなやつ…」
「そうだね、あながち間違いじゃあないよ。」