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 私のチームの仲間たちは、会うたびに様子を変える。具体的には声、そして色。
 たとえばホルマジオは、昨日は鈍い銀髪だったけれど、今日は夕日みたいに赤い髪だ。昨日はターゲットへの怒りを叫んでいたギアッチョの声は、今日は少し渋みを増してプロシュートの喉から聞こえてくる。


「それで昨日は恥かくところだったんだけどな、ホルマジオに助け船もらっちまったって訳だ」
「そうしたら早めにその恩は返しておくと良いかもね、こういうのは後々になるほど照れ臭くなっちゃうよ」
「まあ、そうだけどよ」


 今私の前で照れ臭さと気恥ずかしさを覗かせているイルーゾォだって、もちろんその例にもれない。今日は焦げ茶かあ、固まった樹液みたいで綺麗だ。
 でも多分、この日替わりの色替えには私以外気づいている人はいないのだ。そうでなければ、毎日替わる仲間たちの声と色に戸惑いの声が上がらない理由がない。


「帰ったぜ、ああ、イルーゾォとキサラか?リーダーいるかい」
「ああメローネ、リゾットならさっき出掛けたぜ、タイミング悪かったな」
「おかえりメローネ、それ今度の資料?運ぶなら手伝うよ」


 イルーゾォに手を振って、メローネと共に資料部屋への廊下を歩く。今日のメローネの髪は紫がかった桃色だ。子供のころに舐めた飴玉みたいで、美味しそうな色。
 メローネは大体3色の間を行き来する。金、銀、桃。全部集めて思い浮かべると、ますますケーキのトッピングみたいな綺麗な取り合わせだ。


「今度の仕事は、どうやらこっちの容姿がバレてるらしくてな」
「ますます持って念入りにお仕事しなきゃねえ」
「いくらか変装することになりそうだし、髪色も替えなきゃなあ、キサラは何色が良いと思う?」

 そんなことしなくても毎日替わっているのに、とは言えない。クスクス笑ってしまったが、いぶかしがられてはいないので良しとする。


「んー、じゃあ金色なんてどう?カラコンも入れちゃって、きっとメローネ似合うよ!」
「それじゃあ代わり映えしないだろ、俺がなったことない色にしなくちゃあな、ああ此処までで良いぜ」
「それもそっか!じゃあ終わったらリビングおいでよ、お茶入れてあげるから」


 リビングへと引き返すためにメローネに背を向けて、廊下を歩きだす。
 何のお茶がいいかな。そういえばこの前貰った珍しい金色のお茶がある。会話の続きでメローネに出してあげるのも言いかもしれない。


「あれ?」

 どうしてだろう。何だかすごく違和感のような、モヤモヤとしたわだかまりを感じる。
 うーん、何だろう。まあ良いか。まずは目の前のお茶会にむけて準備をしなくては。

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