コナーに嫉妬する

「わたしが男だったら泊めてくれたの?」ハンクと2人で振り返る。日向が悔しそうな目でこちらを睨みつけている。アンドロイドだから、ではなく、男だから、という理由でよく思われないのは初めての経験だった。隣から大きなため息が聞こえた。「関係ねぇよ。こいつだって勝手に転がり込んできただけだ」「じゃあわたしも転がり込む」「馬鹿言ってないで帰れ。今日の業務は終了だ」後に続く言葉も聞かずに家の中に入っていった相棒の背を見送り、改めて日向を振り返る。悔しげに唇を噛み締めているが、視線に気づくとはっとこちらを見つめたのち、すぐに敵対した表情に変わった。ハンクにはまるで恋する少女のような顔をするくせに、よくもまあそう表情が変わるものだ。半ば感心しながら声をかける。「家まで送りますよ」「…結構よ!」すたすたと歩き出した彼女の背を見つめる。肩で風を切る姿が大分無理しているように見える。ストレス値もかなり高い。ハンクを真似て私も一つ溜息をつくと、玄関に立てかけられた傘を手に小さくなった背を追いかけた。

ALICE+