「好きって言ったら怒る?」
「ここで?」
「うん」
「ここではちょっと」
そんな質問をしている時点でおれとしてはもう「好き」って伝えているようなものだと思うんだが、目の前のアヤリにとっては違うらしい。今日の個人戦ブースは人が多い。ここで今そんな恋愛の絡むような話をすればあっという間に本部中に広まってもおかしくないだろう。おれがこの質問をしている間も、噂好きの隊員はこちらをちらちらと見ているのは明確だった。そんなわかりやすい雰囲気にアヤリが気付かないわけなどなくて、周りの様子をうかがいながらおれの話に耳を傾けている。
「なんでダメなの?」
「なんでって、どこでも言うものじゃないと思うの」
「言いたいときにいうじゃダメなのか?」
「ダメじゃないとは思うけど……」
「ダメじゃないならいいじゃん」
そう答えて顔をアヤリに近づければ、後ろに跳んで下がってしまった。防衛隊員なだけあってさすがに身を守るための反応は良いらしい、開いた距離が少し残念だ。人が多いためおれとアヤリの間を何人かの人が通る。さすがにこれは、距離をとったとはいえ会話している真ん中を人が通ることになるのは良くないと思ったらしく、じりじりと少しずつアヤリが戻ってくる。手を挙げて、何もしないよとアピールすれば、ほっとした顔で隣にすぐに隣にきた。ちょうどベンチが空いたのを指さすと、さっきまで警戒していたのはなんだったのか、なんのためらいもなく密着して座った。
「くっつくのはいいのか?」
「人が多いから仕方ないの」
「こんなに人が多いとおれらのこと見てるやつなんていないだろ」
「遊真くん目立つもん、そんなことないと思うよ」
「そうか?」
「そうだよ、すごいもん」
そうやっておれをほめてくれるアヤリを見ているとなんだか胸のあたりが暖かくなって、きっとこれはチームメイトたちから貰うものとはまた違った感情なんだろう。
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