※麓台町8-5-1捏造
※性描写、♡喘ぎ

 少し、ゆっくりしたいな。
 コイビトのアヤリは小さく呟いた。普段から弱音を零すタイプではない。どちらかといえば周囲に心配かけないように取り繕う方だ。それはコイビトであるおれの前でも一緒だから、いつもサイドエフェクトで彼女の無理を見抜く。だから今回みたく自分から言い出すことは珍しかった。
「めずらしいな、忙しいほうが好きだろ」
「うん、そうなんだけど……」
「なにかあったか?」
「ううん、別に。ただ……」
「ただ?」
「ゆっくり向き合わないといけないことがたくさんあるなって思ったの」
 玉狛からの帰り道。いつもみたいにアヤリを部屋まで送っていく。アヤリは休むことが下手くそだ、眠ることすら上手にできないくらいに。今日もこのあとなかなか寝付けないのだろう。それでも疲れたなんて口にはしない、防衛任務はなるべく出たい、空き時間は基本的に訓練しているほどだ。
 だから「ゆっくりしたい」というアヤリの言葉はいつも以上に意味のある言葉だと感じた。
「アヤリ明日空いてるよな?」
「うん、訓練行こうと思ってたくらいだし」
「じゃあさ」
 もちろんいつもとは違う彼女に興味がなかったとは言わない。だけどそれ以上にその小さく呟かれた言葉を大切にしたいと思ったから、おれにはわからなくてもアヤリにとっては意味のあることなんだと思ったから。
「おれの家きなよ」

 *

 翌日、待ち合わせ場所を決めるのもめんどうで、アヤリの部屋の近くまで迎えに行く。いつもと変わらない格好のアヤリと合流した。最初はいつも一緒に歩く道を、おれより長く三門市にいるアヤリにとっては新鮮な道なんかじゃないと思うけれど、二人で歩くのは初めてである自宅への道を辿る。二人で歩く慣れない道にアヤリの口数がだんだん減ってくるけれど足はしっかりとこちらを着いてくる。
「ここだよ」
 そこにある平屋の建物。少し年代を感じさせつつも、人が長期に空けているようには感じさせない整えられた外装をしているおかげで、長く空けていてもとくになにも困らない。定期的に掃除しにくるだけでしっかりと帰る場所になってくれている。
「どうぞ」
「おじゃまします……」
 整えられた外装とは違い、室内は最低限のものしかものがなく、生活感を感じられない。最近はずっと支部にいるからここにはあまり帰ってこなくなったことを自分でもわかっていた。
「立派なお家だね」
「親父がこっちに住んでた時のみたい」
「なるほど」
「昨日の夜、ざっと掃除はしたから大丈夫だぞ、座って」
「えっと、失礼します……」
 適当な隅に座るアヤリ、こういうのなんて言うんだっけ、借りてきた猫? アヤリは猫ってより犬の方が似ていると思うけれど。おれよりも長くボーダーにいて、おれが今生活しているところではアヤリの方が長くいる先輩だ。だから初めての場所で縮こまっている姿を見るのは珍しかった。
 他の人には見ることがない今の姿を堪能するのもよかったけれど、今日の目的はアヤリをゆっくりさせることで、緊張させることではない。
「アヤリ、こっちきて」
 座らせたけれどもやっぱり立ってもらう。手を差し出せば素直に掴んで立ち上がってくれる。そのまま手を離さないようにして場所を移動させる。普段は人の目があるからと恥ずかしがるアヤリの気持ちを存置して、室内で手を繋ぐことも滅多にないのでこれも新鮮だ。
「ここ」
「縁側……」
「これ縁側って言うのか」
「たぶん、私も初めて見た」
 おそらく親父のこだわりだったのであろう、壁に囲まれていない長い空間。なんとなく落ち着くような気がして、こっちにきてからよくここで外を見ながらレプリカと復習をした。アヤリも外を見るのは好きだと思っていたし、ここの周辺はなんとなく静かだからアヤリが落ち着いて静かにゆっくりできる場所はここだと思って今日は連れてきた。
「ここならゆっくりできるだろ?」
「うん、なんか、落ち着くね」
「おれ飲み物とってくるからゆっくりしてて」
「ありがとう」
 その場にアヤリを残し、おれは台所へと向かう。集合する前に買っておいた紙コップと飲み物をだして用意していく。でもすぐには戻らなくていいだろう。おれがいると気が散ってしまうかもしれないから時間をかけて用意していく。アヤリのことだから「なにか手伝うよ?」と言ってここに来てしまう可能性も考えられたけれど、今日はなさそうだ。
 さぁ行くかと、両手に紙コップを持って向かう。一人で景色を見ながら佇んでいた。おれしか知らない場所にコイビトがいる、なんだか贅沢なような、このままにしておきたいような、あまりにも綺麗な風景でこのまま溶けて同化してしまうんじゃないだろうかと思った。
「おかえり」
「うん、はい、これ」
「ありがとう」
 すぐに飲み切れる量しか入れなかったから、お互いにさっさと飲み切ってしまう。その方がこぼれたりする心配もないと思ったのはアヤリも一緒だったんだろう。
「さて、本番だな」
「本番?」
 そう言っておれは足を外に出して膝にぽんぽんとアヤリを呼ぶ仕草をしてみせた。どうやらすぐに察したらしく、頬を少し赤くしてもじもじしているように見える。そんなところも好きだなって思うけれどこちらも普段しないことでこちらも少しは恥じらいがある。面倒になってアヤリ肩を掴んでそのまま自分の膝に頭を載せるように寝転がらせると、思ったより勢いが付いてしまった。
「い、いたい……」
「これはたいへんしつれいした」
「そんな無理やりじゃなくてもよかったじゃん」
「いつまでも来ないアヤリが悪い」
 おれだって照れるんだと伝えれば「意外」と呟くので軽いデコピンを与える。再び痛いと呟きながら、それでもおれの両膝に頭を任せてくれている。
「このままゆっくりしなよ」
「恥ずかしいよ」
「慣れて」
「難しい話だね」
 恥ずかしい、というのは本心だろう。だけどアヤリはそのままの動こうとはせずにゆっくりと目を閉じた。
「すごい静かだね」
「うん、ここら辺は住んでる人が少ないみたいなんだよな」
「そっか、もしかしたらあえて選んだのかもね」
「うん」
 そこで会話を終える、アヤリは深呼吸のように息を深く吸っては吐いていた。今は話しかけるのは違う気がしておれはアヤリの髪を撫でる。こんな風に触れることもコイビトになれたからなんだろう、少し跳ねていて自分とは違う髪質を楽しんでいた。途中、女の子は髪の毛が命なの、というこなみ先輩の発言を思い出しあまり触れない方が良かっただろうかと手を止めたが、アヤリが「気持ちいいから続けて」なんて言うもんだから遠慮なく続けさせてもらうことにした。
「私ね」
「うん」
「近界民が嫌い」
「知ってる」
「それなのに遊真くんのこと好きになって、でも近界民は嫌いって気持ちに変わりはなくて」
「うん」
「こんなのおかしいよね」
 そんなことない、と言うことは簡単だけれど彼女が求めている言葉はそれではないのだろう。ただ黙って続きを待つ。
「私、鳩原さんがいなくなったとき、何も知らなかった」
「うん」
「王子先輩に色んな人と話して、人のことを知るといいって言われて頑張ろうと思った」
「うん」
「だけど、私はたくさん色々教えてもらったのに、私がレプリカ先生のこと知る前に会えなくなっちゃった」
「うん」
「だから今度は後悔する前に遊真くんのこと知ろうと思った。知った上で嫌いだ、近界民はやっぱり認められないって言いたかったのに」
「うん」
「私、こんなに遊真くんのこと嫌いでも、私のこの気持ちは恋だって思って、そこから好きになるのははやかったの」
「アヤリはおれを好きになったこと、後悔してる?」
 今までうなづいて聞いていただけだったので、問い返しに驚いているようだった。答えを求めるように静かに彼女を見つめれば、顔を少し赤くしてから目を逸らされた。
「後悔、しないようにしていく」
「そっか」
 ありがとう、そんな気持ちを込めてまた髪を撫でる。髪を撫でるたびに目を閉じるアヤリがあまりにも無防備なのでそのまま身体を折って唇に自分のを重ねる。多少無理な体勢でもトリオン体だから特に問題はない。リップ音を立ててすぐに離せば、閉じていた目を見開いて真っ赤になったアヤリができあがっていた。
「アヤリ、かわいいね」
「遊真くんのばか……」
 照れ隠しで悪態をつくのはいつものことだった。口から溢れる黒い煙で本当にそんなことを思っていないのがわかってしまうし、彼女もわかっていることだろう。それでも言ってしまうらしいこのコイビトが愛しい。今度はゆっくりと唇を近付ける。アヤリもちゃんと目を閉じて受け入れてくれる。この静かな場所でコイビトとのこんな時間がただ嬉しくていつまでも続けて行けたらいいのに、そんな非現実なことを考えてしまうのだった。


*

 しばらくするとアヤリはおれの膝で眠ってしまったようだった。小さく、規則的な寝息を立てて瞼を閉じている。きっとここ最近もまともに眠れていなかったのだろう、寝付きが悪く少しの音で目が覚め、夢も見るらしくとにかく浅い。寝てるはずなのに寝てる気がしない、それがアヤリの「フミンショー」というものらしい。戦いに身を投じる人間としては致命的な弱点だと思う。いかに短く、なにかあったらすぐ動けるようにするためにしっかり睡眠をとることがいかに重要か、まだこの身体が眠れる時に学んできた。今となってはその必要もなくなってしまったわけだがアヤリはそうはいかない。
 基本的にはトリオン体で過ごすことで周りには隠している目元の隈を撫でる。この隈がいつか綺麗になくなる日がくるのだろうか、その時を一緒に迎えることができるのだろうか。この身体がいつ限界がくるかわからない、そんなことはわかっている。可能ならば親父に返したかった命だ。それが出来ないから今おれがそのまま使っているだけで、本来ここにいるのはおれじゃなかったのかもしれない。だけど、おれは今ここにいて、アヤリに膝を貸していて、そこで眠る彼女に触れることができる。
 そっと彼女の頬を撫でれば、ゆっくりと瞼が開いてしまった。
「……遊真くん?」
「すまん、起こしたか?」
「だいじょーぶ……」
「アヤリ、少し触ってていい?」
「ん……」
 寝ぼけたアヤリなりのOKサインなんだろう、再び目を瞑り顔をスリスリと動かしてくれる。こそばゆい。しかしせっかくのお許しだ触らない手はない。
「んっ……」
 頬を撫でていた手で耳に触れる。周りを擦るようにしてやればアヤリの身体はビクリと跳ねた。空いているもう片方の手で首筋を爪で優しく触ればさっきまでの規則正しい呼吸から段々と乱れたものに変わっていく。
「ん、ふっ……、んん……」
「きもちいいの?」
「別に、そんなんじゃ……」
 途中まで言いかけて言葉を止める。閉じていた目はしっかりと開かれていて一点を凝視しているようだ。
「遊真くん……」
「ばれたか」
「……遊真くんのえっち」
「アヤリがかわいいもんで」
 恥ずかしいから言わなくていいともう今となってはお決まりの文句を言いながらアヤリは身体を起こす。硬くなったソコに頭を乗せ続けてはくれないらしい、とても残念だ。
 身体が離れてしまったので、ずっと感じていたアヤリの重みがなくなってしまったこと、おれのが落ち着くまできっと距離を置いてしまうだろうと両方に対して残念な気持ちになるが、すぐにその気持ちは消え去ることとなる。
 おれのことを前から抱きしめるアヤリ。あまりにも突然で、想定していなかった行動にすぐに両手で受け止めれずそのまま押し倒される形になった。
「……アヤリ?」
「もう触ってくれないの?」
 そう言いながらおれの片手を自分の耳に持っていく。自分で顔を動かしながら感触を楽しんでいるようだった。
「今日はのんびりしたいって言ってたじゃん」
「やだ?」
「おれはむしろ嬉しいけど……」
「じゃあなにも問題ないね」
 首筋にアヤリが吸い付いてくる。未だに寝ぼけているのだろうか、こんな積極的なのは初めてで嬉しいけれど戸惑いが隠せなかった。そんなおれにお構いなく、アヤリは首に舌を這わせたり片手で腰あたりを撫でたりとしていた。
「ふっ……、ちょっとアヤリ、くすぐったい」
「ん……」
「アヤリ、やめて」
「んー……」
「アヤリってば」
 おれの言葉を無視して舌と手を動かし続けている。どうやら寝ぼけているとかではなく、自分の意思で行っているようだ。
「この野郎……」
「あっ……」
 身体能力はトリオン体のぶんこちらの方が上だ。固定して横に転がれば簡単に逆転できる。
「ほんと好き勝手やってくれたな」
「遊真くんってたまに口悪いよね」
「アヤリ、今なにも考えたくないだろ」
「……」
「図星だな」
「別に、そんなことないよ、たまには私からって思っただけだもん」
「気持ちは嬉しいけど、そんなことないってのはウソだな」
「……」
「いいよ、なにも考えなくて。ただ途中でやめたいって言っても聞かないからな」
「のぞむと……、んん」
 言葉を言い切る前に口内を犯す。舌を絡める度に付いてこようと必死なのがわかるけれど待ってやらない。口から唾液が漏れようとも、苦しそうに息継ぎを求めるのも全部関係ない。口の周りがお互いの唾液でベトベトでさすがに不快になって唇を離せば相当苦しかったのだろう、目にはしっかり涙が溜まっていてはぁはぁと息を弾ませている。そんな表情で睨まれても煽っているようにしか見えなかった。
「泣いてもいいぞ」
「泣いてなんか、ああっ」
「硬くしすぎだろ」
 上着と下着を一気に捲って、彼女の乳首を摘んでやる。クニクニと摘むたびにビクビク跳ねる身体。随分と今日は快感に素直らしく、跳ねる度に漏れる声が楽しかった。ふと、吹いた風で自分が縁側にいることを思い出した。静かな場所とはいえ、外にこの声は丸聞こえだろう。
「アヤリ、そんな大きな声が出したらきんじょめーわくだぞ?」
「んあっ♡ それ、は、やだぁ……」
「やだって言ってもやめないって約束したから、アヤリが声抑えて?」
 両方の乳首をビンっと思いっきり弾いてやる。
「んんっ――♡」
「お、その調子」
「んっ♡ ああっ♡ ゆ、まくん、それやめてえっ」
「先にやめなかったのはアヤリだろ?」
 弾いて、引っ張って、摘んでを繰り返す。舌のぬるぬるした優しい刺激よりも爪先の硬くてしっかりとした刺激で今日は責める。声を我慢したくてもし切れていない、布団もないこの部屋、声を遮るための枕もなにもない。
「おねがっ、ゆうまくんっ♡ あんっ、もう♡  むり……!」
「え……?」
 そう言って一段と高い声と身体を震わせたアヤリ。絶頂を迎えたのだろう。はぁはぁと肩で息をしてぐったりとしている。
「アヤリ、いつの間に上だけでイけるようになったの?」
「し、知らないっ! 初めてだよ……!」
「ふーん、もしかして」
 こういう聞こえちゃうかもしれない状況好き? そうアヤリの耳元で呟いて、指を下に挿れる。反論しようとしたアヤリの口からはもちろん言葉は出てこなくて再び甘く喘ぎだした。
「これ慣らす必要ないぞ、ぐちゃぐちゃ」
「ああっ、も、ほんとに。んあっ♡」
「ほんとになーに?」
 応えさせる気もない疑問を投げかけてやる。快感に逆らえず喘ぎながら身体をビクつかせる姿が愛しい。今きっとおれの与えるものしか考えることができなくなっているのだろうと思えばもっとそうしてやりたくなった。
「アヤリ、咥えて」
「っあ♡ んぐっ」
 指を思いっきり引き抜いて、自身を口の中に突っ込む。寝転がっている彼女を勝手に使うように動かせば、必死に歯が当たらないように、それで少しでも舌を絡ませようとしているのがわかってしまう。
「こういうの好きっぽいな」
「んーっ、んんーっ」
「わかんない、ぞっ」
 一度奥まで入れて引き抜く。ゲホゲホとむせ込んでいるアヤリをうつ伏せになるように転がす。そのまま彼女のナカに後ろから突き立ててやれば、声にならない代わりに再び大きく身体を震わせた。
「おねっ、まっ、ゆうまくんっ♡」
「やめないって言ったよ」
「イってる、イってるからぁ♡」
「好きなだけっ、イっていいぞ」
「ああっ♡ んっ、はぁ♡」
 ギュウギュウとナカを締め付けてこちらを絞ろうとしてくる。どれだけ気持ちよくなってるんだろうか。すっかり声を抑えることなど忘れて、外にはアヤリの声も、肌のぶつかる音も、この水音も全部丸聞こえだろう。
「丸聞こえだな、アヤリ。えっちしてるってばれちゃうな」
「あんっ♡ やだ、やだぁ♡」
「身体は、嫌がってない、ぞっ」
「お、おくっ、だめ♡」
 外について指摘してやればさらに締め付けが強くなる。本当にアヤリはこういうのが好きなのかもしれない。ズンズンとアヤリの奥の方を突いてやれば、さも気持ちいいと言う声色で俺の名前を呼び続ける姿にさすがに限界が近かった。
「ゆうまくんっ♡ わ、たし、またっ♡」
「いいよ、おれも……っ」
「あっ、ああっ、ゆ、まくんっ♡」
「ん、アヤリ、すきだぞ…っ」
「んんっ――♡」
 アヤリのナカにトリオンを注ぎ込む。これがアヤリのトリオンにもなるわけでも、精子の代わりになるわけでもない。ただの空っぽのものだけれど、自分もかなり体力を使っただろう。それすら受け止めて、目が合えばにこりと笑ってくれるアヤリに優しくキスをした。

 *

「誰も通ってないといいな」
「ほんとだよ、もう……」
「でも気持ちよかっただろ? おれは聞かれても構わんしな」
「私は困る!」
 身支度を整えて、再び縁側に座って話し込む。もうすっかり空は暗くなっていた。
「どうする? 泊まってく? 布団ないけどな」
「ほんと、ここに住んでるときどうしてたの」
「もう寝なくていい身体だったからな、いらないと思って」
「そっか。私も寝なくていいなら泊まってく」
「それはダメだ。寝てもらう」
「寝るならさすがに布団ほしいよ……」
 帰ろうか、このままいるか悩むアヤリを見る。彼女の選択肢に自分と時間を過ごすことが入っていて、嬉しいと思った。
「布団はないけど、枕はあるぞ」
「そうなの?」
「ここ。気持ちよかっただろ?」
 自分の膝を指刺せば、膝枕でしっかり寝ていたことが途端に恥ずかしくなったらしい。アヤリは顔を真っ赤にして言葉を失っていた。
「どうする、アヤリ?」
「……泊まってく」
 静かな場所でゆっくり過ごす時間も悪くない、戦争ばかりの自分がそう思えたのだから、彼女に少しでもそう思ってもらえたらいい、甘えられる場所になればきっとこの家も、ここを残した親父も本望だろうから。





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