「アヤリはオサムのことどう思う?」
「質問の意味がよくわからないんだけど……」
「そのままの意味だぞ」
なにか試されているのだろうか。彼のサイドエフェクトで私の言葉を見抜こうとしているのか、彼なりのただの疑問なのか、どちらの可能性も有り得るためすぐに返事ができない。
「深い意味はないからな」
「……ほんとに?」
「おまえ、おれをなんだと思ってるんだ?」
「突然そんな質問されたら誰だって答え方に迷うよ」
大丈夫だから、と言って私の頭をひとなでしてくれる。優しく動く小さな手につい安心してしまう。
「修くんは頑張ってると思う」
「うん」
「信頼、できるよ」
「そっか」
さすがおれたちの隊長だな、遊真くんは笑顔になる。純粋に修くんの印象が聞きたかっただけなのだろうか。私は出会った頃から彼に対しては普通だったと思うけれど、遊真くんから見たら違ったのだろうかとぐるぐると思考をめぐらせる。印象の話ならば、一つだけ私も聞きたいことがある。
「遊真くんはさ、鳩原さんのこと聞いてどう思った?」
二宮さんが玉狛来たとき聞いたんだよね? と付け加える。少しきょとんとしたあと、考える素振りをしている。
――正直、悪い印象を言われると思う。遊真くんたちは鳩原さんがしたことを聞いているはずだから。自分の信頼している師匠が悪く思われるのは嫌だけれど、恋人の彼がどう思っているかはずっと聞きたい、返事に寄ってはしかるべき心構えをしないといけないと思っていたから。
「はとはら先輩はアヤリの師匠だろ?」
「うん」
「アヤリの信頼してる人だろ?」
「うん」
「じゃあ、いいひとだな」
「え……?」
私が驚いて言葉を失っていると、今度はニカッと遊真くんは笑った。きっと私を安心させようとしてくれてるんだろう。
「アヤリの信頼する人だ、悪いことしたのも絶対理由がある」
「うん、今は予想しか立てれないけど」
「少なくともおれは悪い人だと思ってないよ」
遊真くんの言葉を聞いて、目頭が熱くなった気がした。涙はこぼれない。ただ、遊真くんの言葉に自分が想像してたよりも安心してしまつたのだ。
「そっか、ありがとう」
「会ってみたいぞ、はとはら先輩」
「とても凄くて優しい人なんだよ」
「オサムも弱いけど凄い奴だぞ」
そう二人で、ここにはいない人たちの話で盛り上がるのも悪い時間じゃないなって思える夜だった。
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