chapter:Bump~運命の出会い だから、応接間は白で統一された部屋だとか、くつろげるソファーがある、とか。 この男が、なんでオレを助けたのか、とか。 そのそも、この男はオレを助けるつもりなのか、そうじゃないのか、とか……。 そんなことは、今はどうでもいい。 この男が、オレが単独犯か組織ぐるめの犯行なのか、それを知るためにここへ招き、オレから聞き出したところで、後で兵士に突き出そうとするならば、逃げればいいだけのことだ。 ――オレが気にしている問題は、今日一日分の飯のことだった。 オレは周囲をざっと見渡した後、唇を尖らせ、ただ黙り、果物が置いているテーブルを挟んだところにいる、目の前の男をにらみ上げた。 ……まあ? たしかに? コイツのおかげで追いかけてきた兵士たちからは逃げ切ることに成功したわけだ。 『今のところは』だけどな。 それは認める。 だけど。 だけどさ……。 コイツのせいで、オレたち家族3人分の食料は全部パーだ! 全部、なくなった!! おかげで今日、あともう一回、盗まなければならない。 しかも、だ。 今日、盗みに入って、あんなに大騒ぎになった。 おそらくは、兵士たちの、市場を監視する目はかなり厳しくなってるだろう。 今日はもう、食料自体、手に入れることをあきらめるしかない。 |